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Last Update:2019/8/8
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コラム 中国ビジネス噺

第13回 中国での人材確保とリテンション(2)

(2019年8月8日)

  中国と日本の人材採用に関しては基本的に大きな違いがあることについて、縁故関係による採用について日中間で感覚の違いがあることを書きましたが、新入社員の気質についても大きな相違があります。
  日本から中国に進出している大手の企業では、採用というとまずは大学卒の新採が基本的なスタートになります。
  中国でも大学卒の就職活動はもちろん活発に行われますが、この対象は大手の国有企業や外資系の企業等にかぎられていること、また、大学生は就職に関して就職先の省の戸籍へ変更できること等個別の条件を勘案して就職先を決めることになります。
  ここで注意すべき点は学生の就職感が日本とはかなり異なっているということです。
  日本では学生のほとんどが新卒で就職しますが、文科系の場合ほとんどの人が専門とは関係なく配属され企業の文化の中で一から教育が行われていきます。
  当の新入社員も就職というよりもむしろその会社のネームバリューで選んでいることも多く、就職というより就社という意識が強いのが現状で、大きな疑問なく企業のカラーに沿った教育を受けていくことになります。
  一方中国の学生は、というより学生に限らず一般的に企業に入社した人の就職後の意識としては、個人と企業は対等という基本認識を持っています。つまり企業の中でも個人の自主性を強く持つ傾向が強いので、企業の中で身についた知識や技術は個人の物であるという認識を持っていたり、仕事の面でも自分の仕事の領域は他の同僚とは共有せずにクローズしても当たり前という感覚を持っていることが多いのです。
  新人を教育する面でもこの点が両者で大きく違うことから、日系企業が日本のやり方で新人教育を行うと面食らう場面に多く出会うことになります。
  つまり、中国では組織の中であってもその中で個人活動するという意識がもともとあるのが普通といえるでしょう。
  このような気質の良い面は、相手が上司であっても、指示を鵜呑みにせず自立性をもって判断する点やそれに対する意見を持っている点ですが、気を付ける点としてはその判断の基底にあるのが個人の損得勘定にあることです。
  往々にして見受けられるのは、意見の多くが組織やそのケースでの最適を求める内容ではなく、それが自分にとって得になるかどうかが判断基準になっていることが多いので、意見の真意を見極めるとき、この点に注意しなくてはならないと思います。

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