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Last Update:2022/4/14
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コラム 中国ビジネス噺

第45回 これから中国へ赴任される方へ(17)

(2022年4月14日)

   コロナの収束が見えてきません。中国ではこのところ感染者が急増したことにより上海では全域のロックダウンが実施されています。前半は浦東全体が4日間の予定で封鎖され、出勤や買い物も一切できない状況になっています。後半は入れ替わって浦西の封鎖になる予定でしたが前半の感染状況が減少傾向になかったことから、結果として全域が一斉にロックダウンの状況になっています。実は、このような状況は今回が初めてではありません、2003年SARSの時に当に同じ対応が実施されています。当時も突然省を越える移動の禁止令が出され、物流にも大きな影響が生じたことから、今回同様に物の買い占めがおき、マスク等の医療物資も手に入らなくなりました。
 中国では政府による突然の規制や従来の規則の突然の変更はよくあります。今回のロックダウンによる影響は生活面だけでなく企業活動も停止されることから、事業の面でもカントリーリスクと言えるでしょう。このような突然の事業環境の変化に対応し、どうすれば損失を回避して自分や同僚や会社を守ることが出来るでしょうか。
 SARSの時に学んだ経験があります。それは会社の所在地の地方政府、開発区の関係部署との日ごろの情報交換です。2003年当時は中国の内需は好調で外資企業の業績も良く、様々な行事には必ず地方政府の幹部や、開発区の関係者にも案内状を出し、直接事業に関係のない場面でも政府の面子を立てるような対応をしてきました。このような対応は日本サイドの発想で生まれた方法ではなく、社内の工会委員長や開発区の友人等、中国人のアドバイスにより学習した、いわゆる中国スタイルの対応と言えるでしょう。この普段のお付き合いのお陰で、SARSの時には政府の交通封鎖令の交付前日に情報を入手することが出来、社用や病気治療等で日本へ帰国予定のメンバーはかろうじて発令前に会社の車で6時間走り、上海空港へたどり着くことが出来ました。幸いにもSARSは日本では流行には至らなかったものの、我々中国からの帰国者は自主的に1週間の隔離期間を設けましたが周囲から白い目で見られたのを思い出します。
 今日、世界情勢は海外で事業をする企業や個人にとって微妙な時期と言えるでしょう。特に日本と中国との航空便の状況、中国国内の出先での突発的な隔離等、中国だけの原因ではなく、ロシア問題の影響も受けかねない状況もある中で、中国国内の活動に当たっては所在の地方政府との連携を取って正確な情報を得ることは状況判断の上でポイントになると思われます。

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