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Last Update:2023/8/3
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コラム 中国ビジネス噺

第61回 これから中国へ赴任される方へ(33)

(2023年8月3日)

   この夏は世界的に猛暑に襲われており、毎年暑い中国も今年は更に暑い夏になると思われます。駐在員の皆さんも中国ならではの暑さ対策が必要です。中国の住宅事情、特に一般の家庭住宅につきましては外見とは異なり、内部の建付けや配管が脆弱なケースが多く、エアコンの故障や水の供給が急に止まったりすることもよくあります。一番致命的なのはこの時期の停電です。この時期突然の停電でエアコン、冷蔵庫がストップした場合、もはや駐在員の皆さんがアパートに住むことは不可能です。駐在時代には数回この時期の停電に見舞われ、急遽駐在員全員をホテルに一時避難させたことが数回ありました。このようなリスクヘッジもぜひ事前に検討されることをお勧めします。
 先日、中国人社員の転勤時の留意点について質問がありました。つまり、中国人社員を中国国内転勤してもらう際の留意事項についての質問です。日本では社命による転勤というのは当たり前で、転勤だけでなく職種すらローテーションすることが人材育成に資するという企業風土がありますが、中国では自宅を移して転勤するという習慣はありません。これは中国の仕事の習慣にも起因しますが、基本共稼ぎで女性の社会地位が高い中国では、子供は両親に預けて二人ともにバリバリ働くというのが一般的であるからです。
 しかし日系企業が中国で日本的経営を進める為には、中国人社員に対し転勤が意味する将来構想や個人のメリットをよく理解してもらい、それなりのインセンティブを示すことがポイントです。また、実際に転勤を発令する場合には、周りの中国人スタッフがどう見るかも重要なポイントです。中国人は詮索好きなので、すぐに背景を憶測します。転勤先のスタッフもどの様な経緯で移動してくるかを気にします。
 一番わかりやすいのは、昇格して転勤する事です。こうする事で本人の面子も立ち、転勤の理由も明確です。日本では横移動の転勤は一般的ですが、中国では移動は昇格か懲罰が多いので無闇に移動させる事は得策では有りません。従って、昇格人事に伴う転勤であれば本人の面子も立ちやる気に繋がります。また、中国では日本と違い省が変わると色々な条件の違いが出てきますので要注意です。長期か短期か、家族帯同かにもよりますが、長期で家族帯同となりますと戸籍の問題で入れる学校の問題や、地域の税金面で不利益が生じる場合が有り補填が必要になるケースもあります。
 単身で行く様な場合ですと大きな問題は無いですが転勤期間中のハードシップ手当が必要でしょう。ハードシップには要素が色々考えられますが、私の経験では距離に応じて決めるのが良いと思います。これは家族の元へ帰る時間がハードシップの根拠になります。単身者であれば本人の同意が有れば大きな問題はないでしょうが、単純に日本の常識をそのまま持ち込むと転職の引き金にもなりかねないので注意が必要です。

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