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Last Update:2025/7/10
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第84回 これから中国へ赴任される方へ(56)

(2025年7月10日)

   
 今年は日中関係におきまして歴史的な年でもあります。中国人民抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利80周年に当たり、9月3日に北京の天安門広場において記念式典が予定されています。この日は例年「抗日戦争勝利記念日」として記念行事が行われていますが、今年は天安門広場での軍事パレード、国家主席の「重要演説」がある他、例年以上に関連イベントが計画されていますので注意が必要です。また、このイベントの前に7月7日は「盧溝橋事件」が勃発した日であることから、中国に住んでいる日本人にとりましては行動に注意が必要です。
 9月3日は大きなイベントがありますので皆さんも認識されやすいですが、9月にはもう一日要注意日があります。9月18日の「柳条湖事件」です。この日も例年「九一八」と言って学校教育の場でも抗日運動の啓蒙が行われていることもあり行動や言動に気を付けるようにしましょう。抗日運動で注意すべき日は最後に12月13日があります。この日は「南京大虐殺犠牲者国家追悼日」と定められており、毎年公式な追悼行事が行われています。この日はテレビでも関連する放送が流れますので、町の中でも我々の目に触れることも多く、行動や言動に注意が必要です。因みに、中国の日本人学校ではこの日を休校にしたり、オンライン授業に切り替えるなど子供が外出しないように配慮しているようです。
 実際に中国国内で大規模な反日運動が実行されたのはこの20年間で2回あります。2005年4月に起こった反日運動は歴史教科書問題等を引き金に起きましたが、これまでと異なるのはSNSによって簡単に広範囲に拡散したことでした。このことで本来問題としている論点を離れて、学生を中心にデモ参加を呼び掛けて暴動に発展したことが特徴といえるでしょう。結果として、日系スーパーマーケットに対する暴動破壊行為が四川省から北京、上海へと飛び火して上海日本総領事館には一万人以上が集結し、レンガ、ペンキ、卵が投げつけられ、日本料理店や中国人所有の日本車が襲撃されるという事態に発展しました。
2回目は2012年10月に起こっています。この時は2003年の規模を超えるデモ隊が暴徒化し大規模な破壊・略奪行為に発展しました。日系企業の工場がデモ隊に侵入され機械が破壊されたり、スーパー・コンビニが破壊略奪に合うという事態になりました。この時もSNSによる事前のデモ参加の呼びかけがあり、デモを支援する出資者がいて組織的に動員した可能性も指摘されました。
 このような事態を受けて日系企業では家族を帰国させる措置をとる企業も多く、各企業で海外のリスク対策を見直す動きが生まれました。2023年には「反スパイ法改正」がある等外国人に対する監視の目も厳しくなっていることもあり日頃からリスク意識を持つことが必要でしょう。                                      以上

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