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(2025年9月11日)
このコラムでも毎回「反日」関連のコメントになってしまって残念ですが、「中国人民抗日戦争及び世界反ファシズム戦争勝利80周年」の年に当たる今年は例年以上に注意が必要です。特に9月は3日「抗日戦争勝利記念日」に北京におきまして大規模な軍事パレードが予定されています。更に18日は「柳条湖事件」(満州事変)が勃発した日に当たることから日本政府も中国に関わる方面へ注意喚起をしています。 中国事業に関わっておられる皆様にとりまして最も心配なのは、社内の中国人スタッフや仕事やプライベートで関わる中国人の友人達とのかかわり方ではないでしょうか。中国の歴史を振り返ってみますと、1966年から約10年間続いた文化大革命が終わったのが1976年、今から49年前という事になります。すなわち文革が終わった時に10才の小学生だった人は今年59才という事で、現在60才前後の人は文革経験者という事が言えます。 この方たちは強く中国の思想の影響を受けた方達ともいえますし、戦争を経験しているので、戦争を知らない日本の我々とは自ずと異なる感覚を持っていると推察されます。一方で、中国の中堅から若者世代は我々と同じように戦争を知らない世代です。所謂「80后」と言われる35才から45才の中堅層は、文革後の一人っ子政策の中で生まれた世代です。市場経済時代に育っているので、祖父母や両親からの寵愛を受け「小皇帝」とも呼ばれているなど、多くの期待を背負って育った世代です。彼らは「地位」「権力」が成功の証として親に報いるために努力しています。 「90后」と言われる25才から35才の若手層は、IT時代で親に財力がある時代に育ち、中堅層とは違って人生の幸福を求め、個人個人の異なった価値観で生きているといわれています。このように、現代中国人の大半は戦争を知らず、ITの進化による情報世界の中で全世界の様々な情報を自由に手に入れることが出来る環境にあります。つまり、現代の日本も中国も政治やイデオロギーに関わらず自分で情報を評価できる環境にありますことから、個人個人の考え方や関わり方は必ずしも皆同一ではないと言えるでしょう。 日本政府が発表している2025年6月の訪日外国人の数を見ると、中国人が約80万人と最も多く、次いで韓国、台湾となっており、この3ヶ国で全訪日外国人全体の半数以上を占めているのが現状です。このように普段付き合っている中国の友人や同僚との個人的な関係に大きな影響はないと思いますので、これからも個人間のかかわりを大切にしていきたいと願います。 以上
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