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Last Update:2016/12/14
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コラム『チャイナウォール』−中国人の法意識−

 第321回 大学生の就職意識の変化:企業文化が重要に

Changes in employment awareness among university students: Corporate culture is important

(2016年12月14日)

  大学生が就職する場合、何を優先順位に企業を選択するのか。かつては報酬額が第1位であったのが、最近は福利厚生の充実が第1位になっていると言われていた。
  しかし、智聯招聘及び北京大学社会調査研究センターが8月に実施した「2016年の中国年度最優秀使用者」(2016中国年度最佳雇主評選)によると、大学生のプライオリティーが企業文化になりつつあるようだ(中国日報 2016年9月18日、北京晩報 2016年12月7日)。
  報酬について言えば、大学生の期待初任給は、月額5,792元である。男子学生は5,801.74元、女子学生は5,783.78元となっている。この金額は必ずしも高いとは言えない。常に期待額が大幅に増えているということも近年になるとないようである。
  そうであるところ、大学生に対して「最も素晴らしい企業(雇主)として評価する場合に重要なことは何か」と問うと、今回の調査の特徴として、企業文化であるという回答が20.23%と多くあったという。重要度を順番に挙げると、(1)従業員を尊重すること、(2)良好な将来的収入の見込み、(3)公平公正な従業員管理、(4)整った福利待遇、(5)人を惹きつける企業文化、(6)成果に相応しい報酬、と続いた。
  この結果について注目すべき点は、「企業文化」が初めて大学生の就職するときに企業を選択する上での重要な要件に入ってきたことである。物質的刺激の重要度が徐々に低くなり、実際に企業も大学生のリクルート活動において企業文化について宣伝することが多くなってきている。
  今、中国経済・社会は転換期に来ている。1つは、社会の価値観が多様化していることである。経済至上主義だけではなくなって来た。その適否は別として、社会に多様な階層が生まれている。富裕層、中間所得層、低所得層が分化している。教育レベルも均一ではなくなって来た。単に経済的に成功することだけが、個人の目標ではなくなっている。個人の尊厳の尊重という意識も強くなって来ている。また、西洋文化の流入により従来の伝統的価値観にも変化が生じている。
  このとき、企業は、単に従来のように利益追求だけでは企業の存続を図ることはできず、企業文化を持たなければならなくなって来ている。この企業文化は、第一に、社会と融合するものでもなければならない。第二に、企業の価値と従業員の価値が融合したものでなければならない。従業員のモチベーションを高めるためには、経営者と従業員の目標の共有化がなければならいということにもなろう。

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