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第1005回 都市計画、最近の変化-その1-

(2022年2月3日)

 中国で本格的に都市化政策が論議され、実行に移され始めてから、ほぼ10年が経過しました。その間幾つかのプロセスを経てきましたが、現状はどうなのでしょうか。       
 2020年春の全人代政府報告では「新たな都市化建設」が強化され、県都の公共インフラと住民サービスの大幅な向上が謳われ、これに合わせて国家発展改革員会が<県都都市化を加速させ、ウイークポイントを強化する取り組みに関する通知>を出しましたが、その趣旨は、県都に出て都市住民として職を得、定着することを望む農民の増加に対応するためであり、巨大都市が人口過密により交通渋滞・環境汚染など機能不全になりつつあるのを防ぐ意図もあります。また、多くの都市住民を誕生させることで消費の内需拡大を図る意図も含まれています。中国には2019年末時点で1881の県と県級市があり、全国都市常住人口30%を占め、全国のGDPの約40%を占めています。
 2021年からの第14次5カ年計画終了までに中国の常住人口都市化率は65%に上ると推定されていますが、その間、毎年約1千万人規模の農民が都市化すると想定され、彼らの住居や医療・教育などをどう充足させるか、即ち都市化の質をどう向上させるかは、その間の大きな課題になっています。それと同時に、新たな取り組みも進んでいます。その第一は、都市と農村の融合的発展の促進です。都市住民と農村住民の収入格差は2015年の2.73:1が2020年には2.56:1と年々縮小しており、都市と隣接する農村との壁を取り払い、公共サービスの均等化と資本の自由な流動を推進することで、広範な地域の総合的発展を図ることができます。第二は都市群の総合的発展の推進です。第13次5カ年計画終了時、中国全土でおよそ19の都市群が形成されていましたが、これらを一つの有機体としてより高度化させ、人口や産業を含めた様々な機能を合理的に配置することは、今後の中国の地域発展の核心的内容であり、そのためにはそれらの都市間を結ぶ交通インフラの整備が不可欠になります。更に、中国ではこれまで行政区画の壁が厚く、これが一定規模の地域の発展を阻害する最大要因でした。既に京津冀地域で精力的に進められているような壁を取り払う作業が、今後の5年間に各地で急速に進むことは疑いの余地がありません。次回は都市化政策の内容についてさらに突っ込んでみてみたいと思います。

次回は2月10日更新予定 テーマは<都市計画、最近の変化-その2->です。

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