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第1006回 都市計画、最近の変化-その2-

(2022年2月10日)

 都市計画の内容の第一は、精力的に進められてきた老朽家屋の改造です。中国全土では、2000年以前に建設された老朽団地が22万カ所あり、住民は3万9000世帯に上ります。そこで政府は、第14次5か年計画期間中(2021-2025)にほぼそれらの改造を完成する計画で、2021年には約3万9000カ所の団地の改造が計画されました。       
 第二は、粗放型の拡張式発展から、集約型の内部充実型の発展への転換です。遊休地などの再利用も含めた都市空間の効果的な再配置と同時に、地下空間を使ったインフラシステムの建設も重視されています。政府は2021年1月に<都市地下市政インフラ建設の強化に関する意見>を発出、2025年末までに総合管理情報プラットフォームによる全域カバーをほぼ実現し、都市を一つの有機体とし、都市地下市政インフラのデジタル化、スマート化を向上させ、リスクコントロールシステムを完備する、としています。
 上述の改造では、電線の地下埋設、エレベーターの設置、食堂・庭園の併設、高齢者介護施設と託児所の設置、交通の便など、住民の生活向上へ向けた配慮が加えられています。こうした、人を中心に据えた都市化、即ち住民の生活向上はすでに都市建設の主要アイテムになりつつあります。2018年以来、政府は自己チェック、第三者評価、住民満意度などによる都市のチェックシステムを整備し、自然環境、健康度、安全性、交通の便、整然清潔、イノベーション力、都市の特色、多元性という8つの面に、排水、人口年齢、歴史的町並みの保全、ラッシュ時の自動車速度、一人当たりのスポーツ面積、路上の停車スペースなど65の指標を設け、サンプル都市数は59に達しました。2021年7月には<国土空間計画都市チェック規定>を発布し、制度の更なる充実も図りました。
 従来からの都市空間の質の向上も注目ポイントになっています。商業地域はどこの都市にもありますが、それらの地域のアップグレードは大きなテーマ。14次5カ年計画では、都市の商業地域におけるモダン消費の奨励が謳われています。2021年8月、商務部は<都市商圏建設指南(パブリックコメント用)>を発表し、常住人口1000万人以上の大都市にデジタル化された世界トップレベルの高級商業地域を建設するよう求めました。中国の都市化は新たなステージに突入しつつあると言えましょう。

次回は2月17日更新予定 テーマは<犯罪に関するトピックス>です。

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