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第1007回 犯罪に関するトピックス

(2022年2月17日)

 本コラム901~902号(2020年)で、中国の“掃黑除悪”特別キャンペーンについて紹介しましたが、それ以前10数年間続いた<“打黑除悪”>の“打”を“扫”に変えた、2018年1月に中共中央と国務院が発動したこの強力な闇勢力撲滅キャンペーンは3年間続き、2020年末で終了、人民日報は、「闇勢力が蔓延する土壌は除去され、共産党統治の基礎が確立され、庶民の安心感・幸福感が向上した」と自画自賛しました(2021.4.1)。こうした取り締まりの一方、一部の闇勢力は様々に姿を変え、団体名を変えて社会への浸透を図っています。そこで政府は2021年3月に<非合法民間組織蔓延土壌の除去と民間組織活動空間浄化に関する通知>を、同時にまた<非合法民間組織の公益慈善団体名義による詐欺行為に関する注意>を発し、注意を喚起しました。       
 闇勢力に関して、常に付きまとう問題が“保護傘”(公権力との結託)の問題。つまりは役人の汚職問題です。この面を対象とした“打傘破網”活動も2019年8月から特別キャンペーンが展開され、約1年間で“保護傘”案件7766件、処分を受けた幹部・職員は1.29万人、党紀律処分者8866人、書類送検1298人といった数字が紹介されていますが、中国全土の広大さを思えば、いまだ微々たるものと言わざるを得ません。国家監察委員会は、更に取り締まりを強化すべく、最高人民法院・最高人民検察院・公安部・司法部と合同で多方面における協力体制を構築しています。
 犯罪と言っても様々ですが、最近ではどんな犯罪が多いのでしょうか。最近のデータでは多い順に①危険運転罪 ②窃盗罪 ③詐欺罪 ④騒擾罪 ⑤故意傷害罪 ⑥麻薬の密輸・販売・輸送・製造罪 ⑦交通事故 ⑧賭博場開設罪 ⑨集団暴行罪 ⑩強姦罪 となっています。また、特殊な犯罪の中では、コロナにかこつけた詐欺も蔓延し、2020年は上半期だけで4527件のコロナ対策犯罪が摘発され、5565人が起訴されました。中でも突出していたのは、①コロナ対策関係の偽物粗悪品の製造 ②同物品詐欺 ③関係物資の価格つり上げ ④コロナ対策妨害行為 の4種類。また、2021年にかけて偽物ワクチンの製造販売に関する取り締まりも強化され、江蘇省・北京市・山東省では大規模な偽ワクチン製造業者が摘発されています。

次回は2月24日更新予定 テーマは<農村政策の動きから>です。

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