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 第百一回 香港の模索


巨額の財政赤字に悩む香港。2003年1月、董建華香港特別区行政長官は<香港の 利点を活用してともに経済の振興を図ろう>と題した立法会での施政方針演説で、2003年の主要テ−マとして経済の発展、失業の解消を挙げ、広東省との融合を不況脱出の切り札として掲げました。
 6月29日、温家宝首相が香港返還6周年記念で香港を訪れ、<内地と香港が一層緊 密な経済貿易関係を構築することに関する措置>に調印しました。その趣旨は、貨物 貿易の関税、非関税障壁を無くし、サ−ビス貿易を自由化し、貿易投資をし易くすること。以後、7月には年販売額1億米ドルという基準を満たす小売企業25社が内地 進出の資格ありと認定され、8月には中国銀行業監督管理委員会と香港金融管理局の 代表が上海で、境界を越えた支店の開設や代理機関、事務所の設置などに関する覚書 に調印しました。
 広東省とは、今後10〜20年かけ、両者が一体となって大珠江三角州地区を世界で最も活力ある地域にしようと、12の項目について具体的合意がなされ、その手始めとして、8月には深?〜香港間の深港西部道路の建設が始まりました。また、7月28日、広東省の中山、東莞、江門、佛山4都市の住民に対し、これまで手続きが煩瑣だった香港、マカオへの個人観光手続きが、随時、回数制限無しに許可されるようになり、8月20までに5418人が手続きを済ませました。
経済、観光以外でも交流は進んでいます。香港と内地の大学は活発にそれぞれの相手地域から学生を募集しており、香港の8つの大学は、去年から内地の学生の募集を開始して、今年はその規模が580名に達しましたし、内地側も14大学が香港で募集を行ないました。ニ−ズに応じた学生の北上南下はもう当たり前になってきているのです。
この9月5日、董建華長官が、懸案の国家安全法案(香港基本法第23条)を撤回しました。7月1日に50万人の反対デモが起きるなど、市民の強硬な反対を受け、このままでは、来年9月の立法議会選挙で親中派が過半数を確保するのさえ難しくなりそう な様相を呈してきたからです。今後はまず景気を回復させ、市民の支持を取り付けることが先決というわけで、そのためにも、内地との緊密な協力関係の構築が急がれるわけです。

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