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第1012回 中国とアセアン、物流の進展

(2022年3月24日)

 年初、人民日報には矢継ぎ早に、中老(中国-ラオス)鉄道開通関係のニュース写真が掲載されました。例えば、1/7「1/6、中老鉄道開化(湖南省)-ビエンチャン間初の国際貨物列車が“氷糖橙”などを満載して開化を発車した」、1/11「1/10、中老鉄道国際貨物列車“瀾湄快線”初の貨物列車が雲南省の花や野菜を満載し、昆明を発車、26時間後、ビエンチャンに到着予定」、1/17「1/16、家電や布地を満載した中老国際貨物列車が浙江省金華市を出発、5日後、ビエンチャンに到着予定」、1/25「1/24、ビエンチャンを出発した初の中老復路国際列車がラオスなどの鉱産物を満載し成都鉄道ターミナルに到着」、1/27「1/25、江西省九江から貨物を満載した同地区最初の中老国際列車がラオスへ向け発車」など。       
 「中老鉄道は、中国が“一帯一路”を提唱した後、中国が主となって投資建設し、全線にわたり中国の技術を採用し、中国の鉄道網と直接結んだ初の鉄道であり、“陸鎖国”ラオスを“陸聯国”に変えた中国・アセアン協力の一大成果である」と中国政府は大いに喧伝しています。同鉄道は、ビエンチャンから中国雲南省との国境ボーデンまでの414キロで、そこから中国各地へと連結していきます。2016年12月に全線で着工しましたが、全体の62.7%が橋やトンネルという多くの難題を克服し、2021年12月、ようやく開通しました。高速鉄道と称されてはいますが、旅客列車は時速160キロ、貨物列車は同120キロで運行されます。
 この鉄道の開発は、確かにラオスに大きな経済効果を与えると推測されますが、その一方で、建設費用59億ドルの内、ラオス側が負担する30%分は多くが中国からの借入金で賄われるため、「すでに対中国債務がGDPの64.8%に達しているラオスが債務の罠に陥りはしないか」と懸念する向きもあります。
 中国とASEANの物流ルートで最近注目されているのが、中国とシンガポールの間で積極的に推進されている“国際陸海貿易新通道”。重慶から広西チワン族自治区の欽州港を経由し、ASEANへと切り開かれていた“南向通道”が中国南西部全体を網羅するルートへとアップグレードしています。2021年7月には、桂林から北部湾港を経てバンコクに至る路線も開拓されました。第14次5カ年計画は2025年を目標に同ルートのさらなる拡充プランを提起しており、中国とASEANの経済的結びつきは一層強化されるでしょう。

次回は3月31日更新予定 テーマは<開発区に関するトピックス>です。

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