企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

第1013回 自由貿易試験区関する話題

(2022年3月31日)

 自由貿易試験区が設置されて5周年となった2018年に、習近平は、「自由貿易試験区」は改革開放の重要なマイルドストーンであり、これをさらに発展させ、より多くの普及可能な制度的革新の成果を積み上げ、「中国の夢」実現に貢献させなければならない、と指示しました。同年5月時点で、そのような成果はすでに135項目に上り、全国の改革開放の模範となり、ネガティブリストも190から45に減り、営業許認可システムの改革(“証照分離”)、国際貿易に関する窓口の一本化、通関制度の効率向上、さらには金融制度面の改革も進みました。その先陣を切った上海自由貿易試験区は同年、浦東新区に比べ、その十分の一の面積で四分の三の生産額、70%の輸出入総額を達成しました。       
 2018年までに12か所で建設された自由貿易試験区に、2019年、新たに山東、江蘇、広西、雲南、黒竜江の6か所が加わりました。山東自由貿易試験区は、海洋経済の発展を中心に日中韓との経済協力を進めることを、江蘇自由貿易試験区は、先進地域として海外との投資協力を積極的に進め、実体経済に対する金融サポートを強化して製造業のイノベーションを支えることを、広西自由貿易試験区は、中国西南部・中南部・西北部の海への出口、ASEANに向けた国際的海陸貿易ルートを建設し、海のシルクロードと陸のシルクロードを結びつける重要な結節点となることを、河北自由貿易試験区は、最先端工業化基地・生物医薬・健康産業の発展を支える基地としての役割を、雲南自由貿易試験区は、“一帯一路”と長江ベルトをつなぎ、南アジアと東南アジア向けのハブとなることを、黒竜江自由貿易試験区は、経済の構造調整を本格化させ、ロシアと東北地域の国際協力、特に交通物流の中心としての役割を期待されました。こういった動きに合わせ、同年10月には、自由貿易試験区において関連法律規定を暫時調整適用する権限を国務院に授与することが承認され、<対外貿易法><道路交通安全法><消防法><食品安全法><税関法><種子法>に関する調整が三年以内に試行されることとなり、また、営業許認可システムの改革も自由貿易試験区において一層強力かつ全国的に推進されました。
 その後、2020年には北京市、湖南省、安徽省にも設立され、現時点での自由貿易試験区は21か所に達し、ネガティブリストは27項目にまで縮小されています。

次回は4月7日更新予定 テーマは<人民元は今>です。

バックナンバー一覧はこちら

三瀦先生のコラム