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第1025回 陸のシルクロードとウクライナ問題-その4-

(2022年6月30日)

 中国と陸のシルクロード沿線各国との関係を個別に見てみましょう。       
 ロシアとの関係:ロシアがクリミアに侵攻した2014年、習近平とプーチンは計6回会談して主要協力文書90件に調印しました。同年、両国は<全面的戦略的パートナーシップ新段階に関する共同声明>を出し、1500億元の<通貨スワップ協定>も締結、2015年には、ロシアが中国の力を借りて極東経済開発を行う方針を示し、習近平は5月のモスクワ大祖国戦争勝利70周年記念軍事パレードに参列、シルクロード経済ベルト建設での密接な協力を確認しています。同年6月、最初のハルビン-欧州国際貨物列車がハルビン−満洲里−モスクワ−ポーランド−ハンブルグ全長9820キロを走破、従来海運で40日かかったのを15日に短縮、また、中露天然ガスパイプライン東線中国国内部分起工式も行われました。この2年を契機に両国の緊密化が加速し、2021年の二国間貿易額は前年比35.9%増と、中国はロシアの最大貿易相手国になっています。また、2022年2月にはさらに北京オリンピック開会式で両首脳が会談、15件の協力文書に調印しました。
 一方、ウクライナとは、1991年のソ連崩壊をきっかけにウクライナが独立、翌年、両国は国交を樹立し、ウクライナの軍事専門技術者が大挙して中国へ流入しました。その後、1999年に中国が空母「ワリヤーグ」を観光利用名目でウクライナから購入したのは周知の通りですが、最近では、2018年に中国企業がウクライナ国内最大の太陽光発電建設を受注、ウクライナの石油天然ガス採掘でも次々と成果を挙げ、また、2020年6月には武漢からキエフへ貨物列車定期便運航開始し、2021年にはインフラ建設協力進化に関する協定を締結するなど、経済的結びつきを急速に強め、中国はウクライナの最大貿易相手国になっていました。
 中央アジア諸国も、陸のシルクロードにより中国との農産物貿易が活発化し、2022年の中国-中央アジア5か国国交30周年を契機に更なる緊密化を図っていたところでしたし、中東欧諸国は2012年に中国-中東欧諸国協力(16+1)を発足させ、翌年にはギリシャも加入、さらに2021年2月の中国-中東欧諸国首脳サミットでは88件の合意文書に調印、ハンガリーやポーランドなどの太陽光発電建設で成果を上げるなど、経済的緊密度を増していました。
 こうした中、起こったウクライナ戦争、中国にとって、アメリカにとっての得失は?

次回は7月7日更新予定 テーマは<ウクライナ戦争、中国とアメリカの算盤勘定>です。

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