企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

第1033回 生物保護の本格化

(2022年8月25日)

 広大かつ自然資源の豊富な中国は、生物資源においても豊かな多様性を具えた国で、脊椎動物は2900種余り(世界の10%以上)、高等植物は3万6000種余り(世界第三位、固有種は1万5000種以上)に達しています。既に1989年には<野生動物保護法>が、1997年には<野生植物保護条例>が施行され、その後たびたび修正が加えられました。その間、1995年には第一次全国野生動植物資源調査活動が行われ、更に2011年にも第二次調査活動が実施されています。これを受け、2020年6月、<全国重要生態システムの保護・修復十大プロジェクト総合プラン(2021-2035)>が発表され、現在すでに262の関連組織が成立、また、陸地では32地域(全土の29%)、海上で三地域が生物多様性保護優先区域に指定され、国立公園制度などにより、国土の25%に及ぶ生態保護レッドライン地域の保護が進められています。
 こうした努力の結果、絶滅が危惧される貴重な生物の保護・繁殖活動も成果を上げつつあり、ジャイアントパンダは1970~80年代の1114頭から現在は1864頭に、トキは1981年のわずか8羽から5000羽にまで回復しました。長江でも、一時は絶滅が伝えられた長江イルカが<長江イルカ救助活動計画(2016~2025)>などにより、東北トラも東北虎豹国立公園の建設などで着実に息を吹き返しつつあります。
 動物だけではありません。特に近年、中国は独自の植物資源の価値を非常に重視し始めており、すでに各地に200個所にも及ぶ各種植物園を開設、国内植物の3分の2にあたる2万種以上を保存、さらに206種の絶滅危惧種を野生に戻すとともに、2021年9月には最新の<国家重点保護野生植物リスト>455種・40類を公表しています。中国でも特に植物が豊富なのは南方の湿潤温暖な地域です。2022年7月11日、広東省広州市に華南国家植物園が開園しましたが、319ヘクタールに及ぶ同園では経済植物6000種以上を含むおよそ2万種以上の植物と、華南地方の絶滅危惧種95%を育てる計画です。また、省全体の7分の一が自然保護地域で、全国の高等植物の50.1%、19333種が自生する雲南省は、国家重点保護植物の90%以上を擁し、中国科学院昆明植物研究院には10601種の種子が収集されています。
 2021年4月15日、外来生物から国内の動植物を守る<中華人民共和国生物安全法>が正式に施行されました。そこには、生物テロや生物兵器に対する対策も盛り込まれています。

次回は9月1日更新予定 テーマは<人権とプライバシー>です。

バックナンバー一覧はこちら

三瀦先生のコラム