企業向け中国語研修をリードするGLOVA China

ビジネスコラム|現代中国放大鏡

トップ > 現代中国放大鏡

Last Update:

第1046回 幼児教育の発展-その1-

(2022年11月24日)

 <国家中長期教育改革と発展プラン綱要(2010-2020)>実施5周年の2015年、北京師範大学の劉焱教授はその第三者評価チームの代表として<就学前児童の教育に関する特別リポート>を公表し、入園率が2009年の50.9%から2014年には70.5%に急伸したことを示しました。入園者数で言うと、2014年には4050.71万人と52.41%増え、入園難問題がようやく緩和する傾向を見せ始めました。しかし、無許可幼稚園はなお多数存在し、誰でも入園できる公立幼稚園の数が絶対的に不足していました。一方、2015年の18期5中全会での二人っ子政策への転換が図られたことは、明らかに新たなプレッシャーとなると予測され、2020年までの目標として、二つの50%(公立幼稚園が50%以上、公立幼稚園入園児童が50%以上)の実現が提唱されました。こうした意見を踏まえ、2016年3月、政府は、20年来の<幼稚園工作規定>を廃止、新たな規定を実施しました。その中ではまず、公立・私立幼稚園の二本路線の併用が提起されました。上述の二人っ子政策により、毎年300万の児童が増加すると予想される一方、各地の公立幼稚園はいまだ平均20%を充足させるのが精いっぱいで、早急な拡充は難しく、私立幼稚園設立の積極的推進が欠かせません。これに合わせて、必要な幼児教育専門の教師の養成も急務であることが提起されました。二番目には、幼稚園の安全管理(施設の不備と教師による虐待の予防)、三番目には幼稚園の就学前事前学習化の防止と本来行われるべき内容の充実です。幼稚園と言っても遊具やおもちゃやお絵描きの道具もなく、あるのは学習机だけ、といったケースも珍しくありませんでした。
 幼稚園の充実が問題になるのと同時に、託児所の不足も2017年ころから問題視されるようになりました。都会に出て核家族化した若い夫婦は、二人目を生んでも、産児休暇は6か月。ではその後、幼稚園入園前の1-3歳児を誰に託したらいいのでしょうか。共稼ぎが前提の給与水準では、専業主婦にもなれず、進退窮まります。2016年当時、8割の乳幼児は祖父母に託されていましたが、祖父母にとってもその負担は小さくありません。
 こうして2018年、教育部から<幼稚園小中学校教師育成課程指導基準>が出され、幼児教育確立の指針が提示されました。当時の託児所への託児率はわずか4%で、先進国の50%に比べるとほぼ無きに等しく、2018年はまさに中国の幼児教育の転換点となりました。

次回は12月1日更新予定 テーマは<幼児教育の発展-その2->です。

バックナンバー一覧はこちら

三瀦先生のコラム