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第1047回 幼児教育の発展-その2-

(2022年12月1日)

 こうして、2018年には政府目標として、①抱えている問題の包括的洗い出し ②政府就学前教育システムの障害を除去 ③安全確保のための特別指導 ④幼稚園の経営管理体制の特別査察 ⑤教員の養成 ⑥就学前教育の立法化が掲げられ、各地で一斉に、幼稚園の増設や貧困地区への重点的支援投入など、これに対応した取り組みが開始されました。一方、住民側からは、料金の公平な負担、安全な環境、専門性の高い教員の配置、科学的な管理、少人数教育といった点に大きな関心が寄せられました。
 2018年11月、政府は<就学前教育の改革を深め、発展を規範化させることに関する中共中央国務院の若干の意見>を発し、2020年には3年保育の入園率を85%に、一般幼稚園のカバー率を80%にし、就学前教育専門課程修了生を20万人以上に引き上げるとともに、教員の資質向上のためのレベル別トレーニングを150万人に実施して認定証を授与し、幼稚園教員の社会的地位を高め、待遇の向上に努めることを打ち出しました。そして、2035年には、三年保育の公共支援体制を全国の都市と農村に合理的に分布させ、十分かつ質の高い教育を確立する、としました。
 こうした全国的な取り組み体制が構築された後、2019年からはさらにきめ細かい取り組みが始まりました。同年1月、国務院は<都市部の団地付設幼稚園の管理に関する通知>を出し、基準に満たない、あるいは基準に違反した幼稚園の取り締まりに着手しました。団地付設幼稚園は地元の教育行政部門による公営か、あるいは委託された一般向け幼稚園でなくてはならず、営利事業としては強化されませんが、実際には、既定の料金以外に様々な名目を付けた“乱収費”が横行していたのです。全国4.21万カ所の団地付設幼稚園のうち1.84万カ所になんらかの問題があったというのですから、その乱脈ぶりは明らかです。
 こうした努力の結果、2020年末で幼稚園の数は29.17万カ所と、2015年比で30%増加、一般向け幼稚園のカバー率も84.74%に達しました。2025年までにはさらに2万カ所の幼稚園を増設、入園率は90%以上を目指していますが、今後はその内容の充実が一層重要な課題になるでしょう。託児所の整備についても、2022年夏に<積極的出産を支持する措置を一層整備し実施することに関する指導的意見>が出され、その充実へ実質的スタートが切られました。

次回は12月8日更新予定 テーマは<水利に関する話題>です。

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