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第1048回 水利に関する話題-その1-

(2022年12月8日)

 ここ数年、中国の水利政策は大幅に前進しています。2016-2020年の第13次5カ年計画では累計3兆5800億元が投じられ、第12次5カ年計画に比べ57%も増加、2020年には灌漑面積の改善・回復及び新増分は3000万ムーを超え、節水能力も18億立方メートルに達しました。
 2022年、水利部門は、水資源の統一調整計画能力・供給保障能力・戦略的貯水能力の向上を図るため<国家水利ネットワーク計画綱要>を策定、その骨格と大動脈の形成を加速化させました。具体的には、南水北調の東線と中線のレベルアップ及び西線のFS、“滇中引水”、“引漢済渭”、“引江済淮”、珠江デルタ水資源配置などを含みます。そのうち、“滇中引水”は二期工事が11月に着工された雲南省過去最大の水利工事で、金沙江から取水、麗江市・大理州・楚雄州・昆明市・玉溪市を経て紅河州新坡背に至ります。年平均取水量は34.03億立方メートル,都市や工業用に22.29億立方メートル、灌漑に5.02億立方メートル、湖沼の補水に6.72億立方メートルが供給され、3.69万平方キロ、1112万の人口が潤います。
 “引漢済渭”は漢江の水を西安など渭河沿岸の関中地区に秦嶺山脈を貫いて送る水利プロジェクト。ただ、生態環境への影響に問題があり、先行きは前途多難。“引江済淮”は全長723キロ、長江の水を淮河に引き入れるプロジェクトで、安徽省・河南省の都市や農村に給水すると同時に、水上輸送の役割も担っています。珠江デルタ水資源配置もビッグベイ構想の水需要を賄うべく精力的に進められており、通水予定は2023年末、既に10数区間の通水トンネルが完成しています。このほか、5月には長江デルタ一体化の一環として“呉淞江整備プロジェクト”(江蘇区間)が着工され、8月には、西江から広東省西浮市で取水し、広東省西部地区を潤す、全長500キロの環北部湾広東水資源配置プロジェクトも着工されました。年間給水量は20.79億立方メートルで、新たに185万ムーに灌漑します。さらに四川省では今年に入り12の重点水利工事が集中的に着工されており、第14次5カ年計画期間中には大小6000件余りの水利工事が予定されています。こうした取り組みにより、2022年末には全国の農村の水道普及率が85%に達する見込みで、さらに都市と農村の給水システム一本化も視野に入れています。
 次回はさらに具体的な水に関する項目を見てみましょう。

次回は12月15日更新予定 テーマは<水利に関する話題-その2->です。

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