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第1058回 環境政策、最近の動き-その3-

(2023年2月23日)

 二酸化炭素の蓄積は海洋でも積極的に行われるようになりました。2020年時点での大まかな統計では、中国の海草生育面積は9000ヘクタール余りで、同年、自然資源部はこれをさらに増やすため、渤海湾地域で曹妃甸-竜島西北側海草床保護・修復第一期プロジェクトを実施し、海草50万株を移植、種子800万粒を整備された海底に散布、144.9ヘクタールを修復しました。また、浙江省・福建省・広西チワン族自治区などでは二酸化炭素蓄積率が高いマングローブが広く生育しており、政府は2020年8月に<マングローブ保護修復特別行動計画(2020-2025)>を配布、2025年までに18800ヘクタールを造林・修復することを明らかにしました。
 同年末の中央経済工作会議は、国連総会での習近平国家主席のスピーチを受け、二酸化炭素排出のピークアウトと中和への取り組みを重要課題の一つに取り上げ、2030年までに毎年の二酸化炭素排出下降率がGDP成長率を凌ぐことを早期に達成するため、産業構造の調整と向上、デジタル経済・ハイテク産業・現代サービス業の強力な発展を進める一方、石炭・鉄鋼・石化産業など重化学産業の設備拡張を抑制し、なおかつ技術の向上によるエネルギーの節約を進める方針を打ち出しました。また、化石燃料の使用を抑制するため、第十四次五ヵ年計画(2021-25)中に、石炭消費量のピークアウトを実現、第十五次五ヵ年計画中には石油のピークアウトを実現、これらの成果で天然ガスによる排出増大分を帳消しにし、さらには、全体としてのピークアウト実現に漕ぎつけようというものです。
 こうした取り組みを背景に、2021年7月、全国二酸化炭素排出権取引市場が正式にスタートしました。思えば、2011年に北京・天津・上海・湖北・広東・重慶・深圳で試験的に取引への取り組みが始まり、2013年には20余りの業種、3000社に拡大、2021年6月までには累計取引量4.8億トン、成約高114億元に達していました。市場が正式にスタートしたことで様々な関連金融商品も開発されています。
 2021年12月、中国気象局が中国初の国家温室効果ガス観測ネットリストを発表しました。このネットワークの完成は、気候の変化測定評価能力を向上させ、二酸化炭素排出削減への取り組みへ必要なデータを提供して、大きな支えになるでしょう。

次回は3月2日更新予定 テーマは<環境政策、最近の動き-その4->です。

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