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 第百六回 発展する中医学界


 世界の4大伝統医学(中国、エジプト、ロ−マ、インド)で、その内容が現代に伝 えられているのは中国医学だけ。その中国医学の治療法や医薬の伝承、発展を促進するため、2003年1月、政府は、586名の専門家の下で大学院クラスの942名を修行させるプロジェクトをスタ−トさせる、と発表しました。この"師帯徒工作"は1990年にスタ−トし、今回が第3回目になります。
今、中国には外国からも3500名の"洋弟子" が中医学を学びに来ています。中医学は最 近海外で大いに注目され、イギリスでは5000万の人口に対し3000ヶ所の漢方診療所があり、オランダは1500万人に対し1600ヶ所、オ−ストラリアにいたっては1900万人に対し4000ヶ所もあります。先進国が高齢化社会に突き進む中、副作用の少ない漢方医療は益々脚光を浴び、2001年にはアムステルダムに"全欧州中医薬学会連合会"が設立され、2003年5月には同地に"欧州中薬商会"がオ−プンしました。欧州では2004年1月から伝統薬品法規が制定されますが、それに備えた動きであることは言うまでもありません。
新しい動きも盛んです。政府は2002年10月に<中薬現代化発展綱要>を制定、これに沿って関係機関が<中薬国際化戦略研究><中医現代化発展戦略研究>を精力的に進めています。また、中医学研究に関するデ-タベ-スの作成も進み、3月には<中医薬科学技術デ-タバンク>がスタ-トし、全国128ヶ所の中医薬科学研究実験室とその研究内 容も<中国中医薬報>などに公示され、9月には中医学古文献デ−タ化研究室が中国中 医研究院に開設されました。
2003年9月、世界中医学会連合会が成立し、<中華特色薬>というテレビシリーズ(全50回)も制作され、10月には<中華人民共和国中医薬条例>が施行されるなど、中医薬事業はまさに新しい発展段階に突入しようとしています。その一方、伝説的名医華陀の故郷で中国有数の漢方薬材の集散地、安徽省毫州で6月に発覚した漢方薬材のインチキ、粗悪品の問題は、中医薬に対する信用を大きく失墜させました。国の品質検査でも漢方薬は未だに30%以上が不合格。こういった側面の是正や、科学的デ−タによる治療効果の裏づけを明確にすることが、中医学が本格的な医学として認められる必須条件になるでしょう。

三瀦先生のコラム