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 第百九回 電力業界新事情−その2:電力不足

2003年、全国で電力不足が深刻になり、節電が実施されました。その原因の第一は、経済の急速な発展。2002年、中国の工業は12.6%の成長を示し、鉄鋼業の電力使用量は20%も増加しました。一般家庭でも、テレビ、洗濯機、冷蔵庫だけの時代は1家庭1KWで済んだのですが、エアコン、パソコン、AV機器など様々な家電類の増加で3KWを突破、北京ではここ3年、住民の電力消費は平均20.6%増加しています。
政策上の見込み違いがこれに拍車をかけました。1997年、当時の電力過剰状況からエネルギ−不足は一応緩和されたと判断、新規建設ペ−スをダウンさせ、電力消費の伸びに対する発電機の増加は2000年からマイナスに転じ、2002年にはマイナス6.5%に達しました。
原因の第2は異常気象。初春の異常寒波に加え、夏も半世紀ぶりという暑さ(浙江省では連日37〜40度)でク−ラ−などによる電力消費はうなぎのぼり。7月14日、浙江省では発電能力1000万KWに対し1586.6万KWの負荷がかかり、華東電力網や他の省市から買って漸く対応、上海では1000社近くが節電を余儀なくされ、杭州では201の大口企 業にピ−ク時の使用制限を要求、ホテル、デパ−ト、ス−パ−、娯楽施設にク−ラ−使用半減や電飾のストップを命じました。これらの地域では、企業に対し一般市民に電力をまわすよう求める一方で、それらの企業に損失補償を行なう政策も打ち出されましたが、今後の経済発展のアキレス腱が電力供給であることをまざまざと見せつける結果となりました。
この外、渇水による水力発電量の減少と火力発電用石炭の供給不足(少水缺煤)、電力融通ネットワ−クの不十分なども原因として挙げられます。"西電東送、南北互供、全国連網"で電力供給量の偏りを是正すれば、ある程度電力不足の解消に役立つはずで すが、例えば、華中と華東の電力網を結ぶ線は僅か2本に過ぎず、今年、豊富な降水量 に恵まれた四川省も外部との接続線が一本しかなく、余剰電力の送電が十分出来ませ んでした。
中国では、2020年までに新たに4兆4千万KW(年平均2200万KW)程度の電力量の増加が必要とされていますが、ここ数年は1200万KW程度の増加にすぎません。現在建設中で2005以降3年間に投入できる電力源は建設に時間のかかる水力発電が多く、しかも必要量7500万KW以上に対し5500万KWと約2000万KW不足しているのです。

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