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 第十一回  李登輝の2つの中国論と

台湾立法院の選挙結果

12月1日の台湾立法院選挙では、民進党が第一党になり、李登輝氏の台湾団結連盟との合計で100議席の大台には乗りましたが、過半数には届きませんでした。一方、国民党は大幅に議席を減らし、宋氏率いる親民党は倍増、その結果、仮に両者が手を組めば過半数を制してしまいます。そこで、今後、李登輝氏が国民党内の支持者をどう取り込むかに注目が集まっています。李登輝氏の台連結成など一連の行動をどう理解したら良いのでしょうか。
香港、マカオが返還された後、焦点は台湾との統一問題に移りました。大陸側の、北京中心の一国2制度と、台湾側の対等な立場での一国分治の主張は平行線をたどり、膠着状態となりました。“討価還価”(値引き交渉)が習慣の中国社会で、互いに歩み寄る余地のない対立は危険になります。そこで、任期切れ間近の李登輝は将来の統一を否定しない「特殊な2つの国論」を持ち出しました。当然、北京は猛反発します。
大事なのは、そこで北京政府が徹底的に李登輝氏を攻撃し、2つの国論を攻撃することでした。これによって“討価還価”の余地が生まれます。李登輝氏が退いた後、次の総統は、自分は李登輝氏より柔軟だという態度を示し、1つの中国を認める代わりに、対等な立場で交渉のテ−ブルにつくことを認めさせれば、結果として、北京側は2つの中国論を撤回させた面子が立ち、台湾側は対等な交渉という果実を得、両者の面子が立ちます。
しかし、陳氏が総統になった後、北京は陳氏を無視し、時間をかけて統一派を育てる方針に出、連戦氏はこれにまったく取り込まれてしまいました。そこで、李登輝氏が再度両者の中間に立つ台連を結成、そこに台湾の政治勢力を結集させ、国の分裂を阻止し、国論の統一を図る挙に出ました。
今回の国民党の退潮は北京をがっかりさせています。しかし、仮に李登輝氏が新しい政治勢力の結集に成功しても、北京は、李登輝氏では相手にできません。北京としてはWTO同時加盟による経済交流の活発化で台湾経済を取り込みつつ、アセアンとの自由貿易経済圏への台湾の参加をちらつかせ、適当な交渉相手の出現を待つ戦術を取らざるを得ないでしょう。

三瀦先生のコラム