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 第百十回 電力業界新事情−その3:"西電東送"プロジェクト

前回で詳述した電力不足解決の切り札の一つとして期待されている"西電東送"プロ ジェクト。全国的に見ると、送電ル−トは三本に大別されます。
北ル−ト:内蒙古、山西、西北地区  → 華北、山東地区
中ル−ト:四川、長江・金沙江流域地区→ 華中、華東地区
南ル−ト:雲南、貴州、江西地区   →    広東地区
先行する南ル−トに中、北ル−トの開発も加わり、2000年11月から2003年春までに1588万KW(水力1148万KW、火力440万KW)、総額にして1千億元を超えるプロジェクトが着工されました。貴州省では"四水四火"プロジェクトに続き"四水六火" プロジェクトも進め、2005年には貴州から広東への計画送電量を達成、更に5年をかけ、"西電東送"の重要基地としての役割を一層充実させる計画です。
5月13日、国務院は第10次5ヵ年計画に基づいて提出された13の発電所建設新たに承認、これで今年になって合計30箇所余りが承認されたことになります。予定では今年中に1849万KWの電力が新規投入されることになっていますが、その一方で、送電、変電設備の充実にも精力的に進められています。6月22日、"川電東送"、即ち、四川から華東地区への送電が始まり、6月〜9月の水量が豊富な期間に合計14億7900万KW時の電力を供給しました。また、9月21日には、既に接続している華中-華東、四川重慶-華中、華北-東北、福建-華東に続いて、華中と華北の電力網の接続が実現しました。今後、上記北、中、南3本のル−トを主軸に、三峡ダム発電所の建設による東西南北各方面への輻射網を築き、全国的な相互ネットワ−クが構築されていくことになります。
火力、水力、原子力と様々なエネルギ−の開発に取り組む中国ですが、広い中国では、遠くからの送電線が届かない地域もあります。全国津々浦々に電気を通すため、最近では、それぞれの立地条件に合わせた様々な工夫も行なわれています。水力発電の37.1%を占めるに至った小型水力発電は、全国2分の一の地域、3分の一の県、4分の一の人口を支えるまでになり、今、内陸で脚光を浴びている風力発電やソ−ラ−発電などは、全国全ての村に電気を通す"送電到郷"の年内完成には不可欠の要素となって います。

三瀦先生のコラム