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 第百十一回 電力業界新事情−その4:電力価格・発電用石炭


1998年以来、都市と農村の電力価格格差を無くす努力が積極的に行なわれています。農村の電力網の改造と管理体制の改革、それに伴う都市と農村の価格統一は"両改一同価"と呼ばれ、2002年末には23の省レベル(全国70%の県)で価格統一が実現、農村の総電力量の80%前後を占めるに至りました。2003年2月、江蘇省が全国で初めて全省で統一価格を実現、取り組みが遅れていた江西省も7月から統一に向けた計画がスタ−トしました。
農村における高額の電気代は農村の発展を制約する大きな障害になっていました。年収入が3000元にも満たない貧しい農村では、年300元にも達する生活用電気代だけでも重い負担です。しかもその主たる理由が、"人情電" "関係電" "権力電"といった権力と癒着した優遇分の付け回しだったのです。今、漸く安くなった電気を使って、近代的な農業や畜産に取り組む動きが各地で始まっています。
次に火力発電所用石炭の問題。今年第一四半期、中国の石炭産出量は3億トンの大台を 超えましたが、同じ時期に、石炭の主要生産地である山西省などでは、石炭不足のため電力使用制限措置を講ぜざるを得なくなりました。その原因は、石炭会社と電力会社が石炭の販売価格で折り合いがつかなかったからなのです。
中国の石炭産業は、価格の市場化と小規模炭鉱の整理などで1997年頃から赤字体質を徐々に克服しつつありましたが、生産過剰や環境設備投資が経営を圧迫し、ここ数年値上げを続け、2002年にはトン当たり10元値上げし、今年も当初8元、のち5元の値上げを提示しました。電力会社にすれば、電力体制改革で競争原理が導入された今日、石炭価格の際限ない上昇を企業努力で内部吸収するには限界がありますし、いざとなれば、昨年、沿海各省が1000万トン余り輸入したように、安い国外炭に頼る手もあります。
縦割り行政の弊害とも言える石炭業界と電力業界のにらみ合い状況を打破するため、最近、両者の戦略的協力が模索され始めました。2003年6月、中煤グル−プと華能グル−プは、中煤グル−プの採炭基地山西省平朔鉱地区に共同で大型火力発電所を建設することに合意しました。"坑口電站"から送電すれば石炭の輸送に関する様々なコストを削減できるため、今後、この方式はますます幅広く採用されていくことでしょう。

三瀦先生のコラム