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第1111回 エネルギー政策の新たな進展-その4-

(2024年3月14日)

 2011-2015年に運転中ユニット17基、建設中13基だった中国の原子力発電は、日本の福島原発事故に鑑み、安全対策に取り組んだ後、2017年に、2016-2020年の<第13次5ヵ年計画原子力エネルギー発展計画>並びに<同開発計画>に則り、2020年には運行・建設中併せて8800kW能力を達成して、2050年には国内発電総量に占める割合を当時の3%から17%に向上させる方針を示しました。そして2019年には初の<中国の核の安全>白書が出され、中国の核の安全に対するそれまでの成果を関連政策法規など6つの方面から誇示するとともに、同年6月で、運転中ユニットは47基、建設中は11基である、と示しました(2022年にはそれぞれ53基、23基に)。
 建設の増加と共に技術も目覚ましい進化を遂げています。第三世代原発である、アメリカ・ウエスティングハウスの新型炉AP1000は世界で初めて2018年に浙江省三門で1、2号機が操業を開始、その後、2022年には3、4号機の建設に着工しました。完成すれば、合計400億キロワット(二酸化炭素排出量を年間3000万トン削減)に達します。また、2020年には、この技術をベースに中国が自主開発した国和1号も正式に発表されました。同ユニットは設計寿命が60年以上と大幅に延長され、一題で120億キロワットと2000万人分の需要を賄うことができ、温室効果ガスも900万トン削減できます。
 第4世代の高温ガス炉開発も進んでいます。2020年10月には、山東省華能石島湾高温ガス炉原子力発電所のモデルプロジェクトがテストに成功し、2023年末には商業運転に入りました。
 第4世代原子炉は冷却機能が停止しても安全な状態を維持することができるとされています。こうした成果は、すでに世界の原発市場を席巻している中国の原発ビジネスを一層強力に後押しするだろうと考えられています。
 精華大学など国内七大学と協力してこれらの成果を達成したのが中国最大の原子力発電企業中核工業集団で、2022年当時、秦山原発・江蘇原発・福清原発・海南原発・三門原発・漳州原発・遼寧原発などが稼働中、発電能力は1.35兆キロワットで、二酸化炭素排出削減量は10、70億トンに達します。同集団の研究成果にはこのほかに核分裂とは異なる新たな技術「人工太陽」(核融合発電)などもあり、今後の動きに一層関心が集まっています。
 次回のテーマは<エネルギー政策の新たな進展-その5->(再生可能エネルギー)

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