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第1113回 ここ三年の考古学界の状況

(2024年4月4日)

 中国では、2020年に「中華文明探源工程」第5段階がスタートして以来、18件の重大プロジェクト、254件の積極的かつ系統的発掘プロジェクトが実施され、新たな発見が相次いでいます。これについて2023年12月に行われた国家文物局の記者会見で、李軍国家文物局長は、「同工程では、陝西省神木石峁遺跡、河南省偃師二里頭遺跡など29の遺跡の発掘調査で、中華文明の期限とその早期発展プロセスについて全体的な認識を深めた」と述べ、その全体像を「今から5800年前(紀元前3700~3800年頃)、中国各地で社会的分化が明らかになり始め、中華文明起源の加速化段階にはいった。5800~3800年前を古国時代とする」
 「この時代は、さらに3段階に分けられる。第一段階は5200~4300年前頃で、牛河梁遺跡など西遼河流域の紅山文化、第二段階は5800~5200年前頃、山東省焦家遺跡など黄河中下流域や浙江省良渚遺跡など長江中下流域の文化、第三段階は4300~3800年前頃、陝西省石峁遺跡、山西省陶寺遺跡、河南省偃師二里頭遺跡など中原を中心とした地域の文化である」と語りました(2023.12.21人民日報)。この第三段階初期には気候の大変動があり、稲作が急速に北方に伝播したことも分かっています
 様々な時代の遺跡発掘の中で、この三年、特に注目される項目を列挙してみましょう。2021年では、四川省稲城県皮洛旧石器時代遺跡が挙げられます。7つの文化層があり、6000点もの石器が出土、青蔵高原における旧石器時代の空白を埋めました。同年はこのほか、四川省広漢三星堆遺跡で6つ目の祭祀杭が見つかり、多くの重要な出土物がありました。また、甘粛省武威で発見された王族墓群の発見は、唐代末年の100年にわたる吐谷渾の歴史的過程を明らかにしました。2022年の寧夏回族自治区賀蘭蘇峪口瓷窑遺跡は、モンゴル軍によって地上から抹殺された西夏の官窯で、精巧な白磁を生産していたことが分かりました。陝西省旬邑西頭遺跡では、5か所の発掘で、仰韶文化・竜山文化、先周・西周時代、漢唐時代の様々な遺跡が見つかり、陶器・土器・骨器・石器など数千点が出土しています。2023年には陝西省清澗県塞溝で殷代の遺跡が見つかり、殷墟の王陵に匹敵する高度な出土物が見つかったことで、甲骨文に記載されていた殷代晩期の方国林立の範囲・分布に重要な手掛かりを与えました。最近では科学技術による考古学の進歩が急速で、新たな視点型の発表も相次いでおり、
 益々の成果が期待されます。

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