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第1118回 直近の消費振興政策-その2-

(2024年5月10日)

  いつ開催されるか、注目を集めていた三中全会がようやく開催されることになりました。、本来もっと早く示すべきだった2022年の二十全大会から2027年の二十一全大会までの5年間の大方針を示すには、既にちょうど半分を過ぎた7月は、許されるギリギリのデッドラインだったでしょう。とはいえ、経済の先行きはいまだ見通しが立たず、それゆえ政府は、前回も述べた景気振興になりふり構わず取り組むことが求められています。
 2024年3月7日に、国務院が<大規模設備の更新、消費品買い替え推進行動プラン>を打ち出した(国発(2024)7号)ことは、前回の最後にも触れました。同プランは、これら買い替え措置を新たに発展加速させ、質の高い発展を推進するための重要な措置と位置づけ、これにより、質が高く、耐用性に優れた消費品をなお一層人々の生活に溶け込ませるとしています。具体的な買い替え対象としては、主として自動車・家電や家屋の付帯設備が挙げられ、スマート化もその重要な一環として挙げられています。その一方で、買い替えは多くの廃棄物を生じさせます。そこで政府は、上記の大規模設備の更新、消費品買い替え2項に回収循環利用や品質基準の向上も加えることでこれらを4大行動と位置づけ、リサイクルや中古市場の活性化にも力を入れています。また、これらのアクションをサポートする様々な基準の整備も重要課題として取り上げられ、エネルギー消費基準・二酸化炭素排出基準・技術水準・資源循環利用基準などの整備を急ぐとともに、重点領域の国内基準を国際基準に極力合致させる方針も示されました。
 ただ、これらの政策を推進するには、中央政府や地方政府の補助金支給や優遇税制の強化が必要になり、融資に関しては金利面での優遇措置も考えねばなりません。そこで、 商务部など14部門は関連通知(商消費発〔2024〕58号)を各地方行政府向けに発し、さらに具体的な財政金融面での支援内容を示しました。そこには「合法的かつリスクをコントロールできる範囲で」という但し書きがついてはいますが、実質的には金融機関や各行政レベルに相当の負担がかかるだろうことは予想に難くありません。
 通知を受け、4月20日以降、北京・山東・河南・寧夏・上海・浙江・広東など各地方政府が陸続として実施プランや実施細則を打ち出し、蘇寧易や天猫などではその反応も現れていますが、これらの取り組みが息の長い消費の拡大につながるか、予断を禁じえません。

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