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第1181回 中国AIの衝撃

(2025年8月7日)

  2025年1月の世界経済フォーラム2025年年会開幕日に発表されたオープンソースの大規模言語モデル生成AI「ディープシークRI」が世界に与えた衝撃は凄まじいものでした。エヌビディアの株価やナスダックも一時急落、日系大手新聞社も次々と特集を組み、その性能や問題点を洗い出すのに必死になりました。「ディープシークRI」を開発したのは中国の「深度求索(DeepSeek)」社、創業者の梁文鋒氏は1985年生まれの40歳。広東省で生まれ、浙江大学で修士号取得後、ヘッジファンドで成功したのち、2023年にディープシーク社を設立したのです。


 「ディープシークRI」の誕生の裏には、アメリカによるハイエンドチップに関する厳しい規制措置がありました。この問題を解決するために独自のアーキテクチャーを開発、また、高度と低コストを追求するために、オープンソースを活用、蒸留と呼ばれる手法で公開技術を巧みに組み合わせました(自社のモデルも公開)。こうした結果、その開発費用は、公表された数字によれば、アメリカ企業の10分の一にも満たないとのこと。


 中国では2024年からすでにいくつかの動きがみられました。同年9月にOpenAIが推論モデル「o1」を発表すると、11月にアリババがほぼ同等の推論能力を持つ研究モデル「QwQ-32B-Preview」を発表、12月下旬には、「深度求索」社が混合エキスパートモデル「DeepSeek-V3」を発表し、世界最高水準のクローズドモデル「GPT-4o」などとも肩を並べました。ChatGPTが登場してから1年足らずで、中国では130以上の大規模モデルが登場。GPT-3のパラメータ規模1750億程度に対し、パラメータ規模100億を超えるモデルは100個以上に達し、アメリカの大規模モデルの数を大きく上回りました。アリババは2023年に大規模言語モデル「通義千問」を発表していましたが、「ディープシークRI」が公表されると、すかさず最新版「2.5-Max」を発表し、また、「月之暗面(Moonshot AI)」がOpenAIとほぼ同等の推理能力を持つ「Kimi k1.5」を発表するなど、有力なスタートアップ企業がしのぎを削っています。「ディープシークRI」については、政治的統制などのマイナス面も指摘されていますが、バイドウ、アリババ、テンセント、ファーウエイといった中国企業に止まらず、アマゾン、エヌビディア、マイクロソフトなどでもすでに採用されました。中国は2017年に「次世代AI発展計画」を定めましたが、その成果が着々と実を結んできたのです。  

 
 

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