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第1182回 中国経済の現状と展望

(2025年8月14日)

  今年上半期の経済統計が続々発表され、今後の展望が取り沙汰されています。前年比で見ると、3月~6月の消費者小売総額伸び率はそれぞれ+5.9%、+5.1%、+6.4%、 +4.8%で、季節調整済み前月比伸び率は +0.58%、+0.24%、+0.69%、 -0.16%と、前年比も前月比も6月の落ち込みが気になります。これは主に、5月中旬に発表された、公務員に対し宴席や会食の自粛を促す「倹約令」により、飲食や高額商品の購入が抑制されたこと、「618」オンラインショッピングフェスティバルが前倒して実施されたり、家電・通信機器の買い替え補助初期枠が5月で底を尽き、 補助金の受付が停止したことなどの影響と考えられます。消費喚起のために消費を先食いすれば当然起こる現象でしょう。


 PPI(生産者物価指数)は 前年比-2.5%、-2.7%、-3.3%、-3.6%と推移しました。鉄鋼、石炭、化学品など原材料価格(鉄鋼、石炭、化学品など)の下落、不動産・建設需要の低迷による資材需要減、中国国内の製造業景気減速による企業間価格競争の激化などが原因として考えられます。一方、CPI(消費者物価指数)は-0.1%、-0.1%、-0.1%、+0.1%と、ぎりぎりの線を維持しています。これは食品やサービスの価格(人件費など)が比較的安定しているうえ、政府による生活必需品の価格安定策、景気減速で需要は弱いが、家計消費はゼロ成長を維持していることによる下支えの結果と推測されます。


 こうした動きを経済全体でとらえた場合、これをややポジティブにとらえ、スタグフレーション抑制的とみるか、はたまたデフレ傾向の兆しと見るか、評価が分かれます。前者でとらえれば、現在はインフレではなく、むしろ価格安定の傾向であり、コアインフレは底堅く推移しており、加えて食料価格安定やサービス価格下支えで、家計の実質的な負担はある程度回避されています。一方、後者で見ると、PPIは2年以上もマイナスで、企業収益や投資、雇用に継続的な下方圧力があり、CPIの見かけ上の安定は政府の価格安定策や食品価格の動きに依存、更に、住宅市場の停滞、貿易環境の不透明さ、過剰供給構造などが消費および物価の回復を阻害し、本格的な需要回復より、むしろデフレが懸念される状況です。  

 
 

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