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 第百三十九回 気象予報への取り組み


中国は世界有数の気象災害多発国家です(各種の自然災害の中で気象災害はその70%を、北方の干害でも約半分を占める)。気象災害よって毎年5億ム−(1ム−=15分の1ha)の田畑が被害を被り、6億人が影響を受け、気象災害による直接損失はGDPの3〜6%にもなります。特に近年は、地球温暖化のせいか異常気象が目立ち、例えば 2002〜03年の冬、タクラマカン砂漠は14cmにも達する一面の雪に覆われ、博斯騰湖は住民が2mもの防水堤を築く記録的水位に達しました。
気象災害防止には正確な天気予報が不可欠です。中国では1981年にCCTVがお天気 番組を開始、86年には国の気象センタ−が天気予報制作部門を設けて制作を担当するようになりました。その間85年からは、各産業別の天気情報有料提供サ−ビスも始まり、徐々に対象も細分化されていきましたが、反面、質の向上が急務となりました。
1998年、国は全国的な気象科学調査を行って中国国内の気候変動のメカニズムにメス を入れ、その結果、短期予報の精度は5〜9%アップしました。その後、2003年末まで に400余りの各種レ−ダ−を使った全国的な観測網を整備し、6基の気象衛星の打ち上 げに成功しました。気象観測には、地球の自転とともに観測地域が変化する極軌道気 象衛星(世界の気候の変動を観察)と地球の自転に合わせて移動する静止気象衛星(一定地域の気候の持続的な変化を観察)がありますが、中国はアメリカ・ロシアに 次いで世界で三番目にその両方を自力開発し打ち上げた国になりました。
こうした技術の向上を背景に、1999年には9210プロジェクト(気象情報衛星通信シス テム)が作動、2003年春にはGPSデジタル化大気観測ネットワ−クの構築を見据え たモデルステ−ションを北京郊外に建設することが決まりました。GPS信号を使っ て大気の遠隔探査測定を行い、天気予報や気候変動の研究に役立てようというもので す。また、内外のス−パ−コンピュ−タを駆使した数値予報の強化も積極的に推進さ れています。
2004年3月3日、CCTVの天気予報が48時間予報から72時間予報に、行政区画別から 全国4地域別に変わりましたが、中国では、今まさに天気予報から"局部"(所により) "有時" (一時)"零星"(ぱらつく)といった曖昧な表現が消えつつあるのです。

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