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 第百四十四回 知的財産権-その1:特許をめぐる情況


知的財産権に対する関心が急速に高まっています。2003年3月、鄭州市中級人民法院は、転職先に元の会社の独自技術を洩らした被告に有罪を宣告、50万元あまりの賠償を命じましたが、10年ほど前には社会に貢献する行為だと称賛されたことを思うと今昔の感があります。10月には、民政部の承認を経て、企業をサポ−トする非営利組織<中国特許保護協会>が発足、2004年1月北京で開催された全国特許工作会議では、呉儀副首相が各地方行政府に知的財産権を重要な議事日程に乗せるよう呼びかけ、王景川国家知的財産権局局長は、知的財産権に関する法制度・政策体系の確立、保護体制の整備と審査能力の向上、知的財産権創出・応用能力の向上等を柱とした8項目を提示し、4月には国家知的財産権局など9部局による全国規模の<知的財産権保護宣伝ウイ−ク>が開幕しました。
WTO加盟後、政府は2002年12月に特許法実施細則を改正するなど関係法令の整備に一層力を入れ、特許申請数も急速に増加し始めました。特許法公布20周年に当たる2004年3月、過去の申請総数が200万件を突破しましたが、2003年1年間だけで特許申請数は30万件を超え、しかも発明特許が実用新案に迫り、また、国内からの申請が国外からの申請を、職務発明が非職務発明を初めて上回りました。科学技術部は特許戦略を科学技術発展三大戦略の一つに位置づけていますが、特に生命科学の分野では2000年の時点で既に日本や欧州を抜いて世界第2位に躍進しており、その後も目覚しい成果を挙げています。
特許技術の産業化に向けたユニ−クな試みも報じられました。上海では2003年から特許マ−ケットが設けられ、2004年2月時点では全国各地から1200項目の特許が出品されているそうです。また、教育の現場では、特許を取る事を奨励するための優遇措置も出現しまし、武漢市では特許を取った中学生には高校受験の際20点を加算、特許を取った高校生は大学に無試験入学させることとし、2003年はそれぞれ6名、4名の該当者が出、特許出願数も急増したそうです。
ただ、一方で賄賂による不正認可など特許審査にまつわる黒い噂も広がっています。海外で正当に評価された技術でもコネがないと認可されず、審査もいい加減で、特許制度に対する信頼が揺らいでいます。モラルと専門性の確立が急務と言えましょう。

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