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 第百五十五回 “城郷結合”—都市と農村の合体


2003年10月に開催された中国共産党16期三中全会における<社会主義市場経済体制の若干の問題を整備することに関する決定>で、社会主義市場経済体制を更に発展させる為の5つの重要ポイントの筆頭に掲げられたのが「都市と農村バランスの取れた発展」。
改革開放が始まってから、中国では農村の余剰労働力が大挙して沿海部の都会に押し寄せ、労働力として都市部の発展を支え、また、農村部に現金収入をもたらす経済的効果も発揮しました。しかし、その一方で、自然発生的且つ無秩序な出稼ぎ労働者の移動が惹き起こすトラブル、労働力の質の低さ、農業戸籍による矛盾、失業・医療・老後などの社会保障の未整備、子弟の教育など様々な問題がクローズアップされ、また、都市部住民と農民の収入格差も拡大の一途をたどり、無視できない状況に到りました。
このような事態を根本的に改善すべく、2004年になって、<都市と農村の一体化(都市と農村の2元経済構造の改変)>が声高に叫ばれるようになりました。その主要コンセプトは、農村に対する都市の牽引作用と、都市に対する農村のバックアップ作用を上手くマッチさせ、人的資源と金融資源を効果的に配置して、都市と農村が、市場メカニズムに基づいて平等互恵の相互協力を進め、ウインウインの関係を築き上げよう、というものです。
例えば、人口の63%にあたる658万人の農民を抱えている四川省の成都市は、農業の発展に工業発展の手法を導入し、1999年から農業産業化プロジェクトの資金として4000万元の特別資金を投入し、改革を牽引する企業を育て、2003年には全農家の48%に当たる98万戸の農家と連携させ、農業輸出額は1億7千5百万ドルに達し、今後は毎年5000万元を投入していく計画とのこと。更に農民の土地を関係企業に集中させ、農民は土地請負権を提供する代わりに株主となり配当を受けるようにして、土地の合理的な経営を進めました。また、社会保障面でも先進的な改革を進め、省全体で農民向けの社会保険、医療保険を整備し、西部地区で初めて農民退職養老金の支給を始めています。
2004年初め、成都市は、2007年に戸籍一元化を実現、農業戸籍を廃止する、と公式に発表、同年の都市化率42%を目論見、工業パークの集中、農民の都市への集中、土地の企業主への集中という“3つの集中” を精力的に進めています。

三瀦先生のコラム