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 第百五十九回 自動車業界と新自動車政策−その2−


2004年6月1日に国家発展改革委員会から<自動車産業発展政策>発表されました。同文書は、第1章の政策目標で、2010年までに中国を世界の主要自動車生産国に育てあげ、国内市場の大部分の需要を満たしつつ、国際市場にも一定の進出を果たす(第2条)ことを謳い、また、やはり同年までに自動車、バイク、部品の各分野で幾つかの有名ブランドを確立することを目指しています(第3条)。そしてこれらの目標を実現する為に、構造調整、業界再編を進め、重複建設を排除して2010年に世界の上位500企業に加わる大企業を育成しようとしています(第4条)。以下、幾つかの注目すべき点を考察して見ましょう。
まず、環境汚染対策として「2010年までに乗用車の新車の平均燃費を2003年比で15%改善する」ことが明記されました。このことは、胡錦濤が掲げる“科学的発展観”に沿った政策でもあり、中国が自動車産業の発展と自動車消費の伸びがもたらす負の部分にも積極的に目を向け始めたという点で評価されます。これにより、排気量の小さい車や低燃費・低公害のハイブリッド車、更には新型燃料車が俄然注目されるようになりました。
この方針は一部の日本企業には絶好のチャンスと言えます。6/2付の日経新聞は、<トヨタ・ホンダに追い風>という見出しで、「世界で一番厳しいとされる米カリフォルニア州規制に最も素早く対応した両社が存在感を増し」、「ハイブリッド車も各国大手に先駆けて実用化しており、中国が環境に傾斜するほど、両社には追い風となる」と書いています。
新型燃料車で脚光を浴びているのが電池自動車。2004年2月、科学技術部ハイテク局と中国国際経済技術センター共催で、中国燃料電池バス商用化模範プロジェクト(2003年から5年間、総投資額3236万ドル)の國際入札会が行われました。このプロジェクトは北京と上海で中国初の6台の電池式バス運行デモンストレーションを行い、様々なデータを集めようというものです。<電気自動車>は、第9次、第10次5カ年計画にも組み入れられ、2001年には国家12大科学技術特別テーマの一つに挙げられています。5月には、天安門前を、ダイムラー‐クライスラーの燃料電池車と清華大学が開発した第3代国産燃料電池車が併走しました。人民日報は<“緑色”革命>という見出しでこの「歴史的意義がある」壮挙を紹介しましたが、この分野での競争は今後ますます激化していくことでしょう。

三瀦先生のコラム