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 第百六十一回 自動車市場の最近の動向


中国では例年、4月に自動車新車販売数が年間のピークを記録します。しかし、2004年4月は全国の乗用車販売数が22万台強と、前月を2.72%下回ってしまい(2003年4月は前月比6.5%増)、続く5月も前月比で19.27%下降、“黒色5月”とさえ言われ、国産自動車価格は9.2%下落し、25%を記録した車種も出現しました。2年連続して50%以上の成長を示してきた中国の乗用車市場に変化が生じ始めたことは誰の眼にも明らかです。
そこで今回の変調の原因を探ると、まず、以下の2点が指摘されます。

  1. 政府の経済引き締めの影響。年初より続く経済過熱を抑制する為の、素材産業を中心とした政府の引き締め政策とそれに伴う様々なプロジェクトの見直しは、間接的に自動車需要、特に商用車需要に影響を与えました。
  2. 最初に30%の支払いを義務付けるなど自動車ローンの条件が非常に厳しくなり、年収5万元前後の購買層にとって購入環境が厳しくなったこと。2003年は、個人購入者の40%がローンを使用しましたが、2004年に条件が厳しくなってから、この比率は10〜20%程度にまで急落しています。
この一方で、各自動車メーカーは販売シェア獲得を狙って、2004年も生産計画を大幅にアップしていたため在庫が急増し、多くの企業が販売計画の下方修正を迫られ、販売価格も更に下落、9月には国慶節の長期休暇需要を見込んだ下落第2波が出現しました。2005年以降はWTO加盟時の公約に従って自動車の関税率が引き下げられます。これに上述の“継続する販売価格の低落傾向”という要素が加わり、消費者の買い控えが一層助長されました。その結果は更なる在庫の増加、値下げという悪循環です。乗用車の在庫は「8月に既に40万台を突破した」と言われ、生産ライン全体の30%が休止状態に入り、2004年の乗用車販売価格の下落幅は最終的に15%に達した、と言われています。
しかし、一方で新自動車政策の「生産シェアや販売シェアが15%以上の企業グループは独自の経営発展計画を策定してよい」と言う条項を前に、各企業とも退くに退けない状況で、高級化、燃費・燃料の技術革新、輸出市場の拡大、中国国内での販売サービス網の構築、地域別のきめ細かい戦略などを含めた体力勝負に突入しています。

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