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 第164回 郵政事業最近の動き

2003年〜2004年、中国の郵便制度に幾つかの改革がありました。2003年8月30日には郵便料金が改定され、国際ビジネス郵便(EMS)が実質値下げされました。基本重量が200gから500gになり、20元の基本料金は据え置きますが、以前200g毎に一律6元加算した追加料金が、配達距離に応じて料金設定され、例えば、過去、遠近に関わらず100元だった1kg以上のEMSが、1000km以内26元、2500km以上35元と格安になりました。高すぎるという批判を受けながら過去8年間改定されなかったのは郵便が独占事業だったからで、電子メールが発達し、200g以上の市場には競争原理が導入され外国企業も参入したことで、漸く安閑としてはいられなくなったのです。
2004年にも大きな改革がありました。6月18日、郵政局は環渤海湾地区(主要12都市)EMS定時(翌朝)配達制度を実施、規定時刻以内に出された5kg以下の翌日配達郵便物は午前10時までに届ける事を保証しました。更に8月18日には、EMSの“全夜航”が開通しました。これは上海を集散拠点とし、北京・広州・大阪など7都市を主要中継都市とし、136都市間で翌日配達を実現するもので、毎日深夜1:10〜3:00に主要中継都市から飛行機が上海に飛び、郵便物を交換し、7:40〜8:55に主要中継都市にもどり、そこから各地へ車で輸送するシステムです。これにより、136都市の顧客は、前日夜8時以前に郵便物を出せば、翌日午後6時までに受け取る事が可能になりました。
このようなシステム改革は企業活動を大いに促進します。郵政事業の企業の物流に対する貢献度はますます高くなってきており、例えば1998年に分離独立した広東省郵政局は、2000年5月に広東郵政物流配送サービス会社を設立、今では、聯想・TCL・松下など国内外の大企業と配送契約を結び、広東物流の牽引車になりました。
しかし、こうした改革の一方で、取り残された農村の問題も深刻です。村にポストが一つもないとか、配達が半月に一回しかないといった状況もいまだ珍しくありません。大学合格通知の配達が遅れ、入学手続きに間に合わなかった、という気の毒な例も報告されています。“三農”(農村・農業・農民)の支援が叫ばれる中、“民心プロジェクト”と呼ばれる“村郵プロジェクト”が農民に実質的な恩恵をもたらすよう一層の努力が求められます。

三瀦先生のコラム