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 第十八回  身障者福祉事業

  昨年は"中華人民共和国身体障害者保護法"施行10周年に当たりました。第9次5ヶ年計画では身障者のリハビリ、義務教育への参加、就職などの面でかなりの前進が見られましたが、未だに1千万人近い身障者が"温飽"(衣食)にさえ不自由しているのも事実です。
身障者への援助では、香港の長江実業総帥李嘉誠氏の中国に対する援助がしばしば報道されています。潮州市に対し、貧困地域に対する小学校建設と貧困家庭の子女の学費として、5年間で320万元の援助を申し出たり、大雪で校舎がつぶれ、授業ができなくなった内モンゴルなどにも500万香港ドルを提供しましたし、昨年5月20日の"全国身障者デ−"には、1991年〜95年に引き続き、2000年〜2005年にも一億香港ドルの寄付をする"長江新里程計画"を発表しました。そこには、
1. 全国で35万、なお毎年1.5万人ずつ増えている下肢欠損者に対する義足の提供。
2. 就学率が40%に満たない目の不自由な児童の就学促進。
3. 就職率が30%にも達しない盲人の就職を促進するためのマッサ−ジ師育成。
4. 664の貧困県にサ−ビスセンタ−を設立し、リハビリ訓練や言語訓練、特殊補助器具の提供、職業訓練、就職の斡旋などを行う。といったプロジェクトが盛り込まれています。
身障者の中で最も多いのが聴力言語障害者。薬物、遺伝、感染、疾病などで、毎年3万人以上の新生児が障害を背負って生まれています。李嘉誠氏はここでも"北京聴力言語リハビリ技術院"の設立に協力、児童の聾唖教育に携わる教員を5年間で500名養成する方針を打ち出しました。
李嘉誠氏の行為は大いに賞賛されるべきですが、見方を変えれば行政の貧弱さを物語っているとも言えましょう。2000年から、毎年3月3日が"耳の日"に定められ、様々な啓蒙活動が行われるようになり、また、昨年5月には"身障者事業第10次5か年計画綱要"が公布されましたが、北京、上海のような大都会でも、夜になると、外国人客の集まるところで物乞いをする身障者の姿が今だに見られる現状を踏まえ、国や社会の一層の努力が求められます。

三瀦先生のコラム