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 第183回 アセアンとの関係−地域別と国別−

アセアンとのFTA協議の進展は中国西南部諸省にとっては発展の好機。2004年の対アセアン貿易額の3割を占めた広東省は別格として、直接国境を接する雲南省と広西チワン族自治区など各地域の力の入れようはまた格別です。
雲南省を例に挙げると、雲南師範大学では、タイ・ベトナム・マレーシアに5箇所の漢語教学センターを設立して1000人を超える学生を教育し、タイ語・ベトナム語・ミャンマー語・ラオス語の本科をもつ雲南民族大学には中国−アセアン言語文化人材養成センターが設置されました。雲南省政府も毎年180万元の奨学金を設立し、2004年には一期生として各国から60名の留学生を受け入れています。
一方、アセアンでも、各国によって様々な対応があります。ベトナムの対応振りを見てみましょう。南シナ海をめぐる中国とベトナム・フィリピン等との領有権問題は70年代から論議が高まり、中国が南沙群島に兵を駐屯させ緊張が高まる中、2002年、漸く関係諸国間で<南海各方行為宣言>が調印され、平和的解決への望みが拓けました。2004年3月、マニラで中国・ベトナム・フィリピンの石油3社が、将来の石油共同開発に向け、南シナ海指定区域(14万㎢)海洋地震共同観測に合意しました。その後6月には、2002年に調印された<北部湾境界協定>を双方が批准し、北部湾で操業する両国漁船が遵守すべき12項目を取り決めた漁業協力協定も同時に発効しています。
こういった進展を背景に、2004年10月、温家宝首相はベトナムを訪問、両国の陸上境界線に標識を設置する速度を速めることで合意し、また、2010年二国間貿易額100億ドル達成を目標に掲げ、雲南省の昆明・広西チワン族自治区の南寧からそれぞれ国境のラオカイ・ランソンを経てハノイ−ハイフォンと結ぶ経済ルートと北部湾経済圏形成についてFSを進めることでも合意しました。しかし一方では中越間は常にギクシャクした問題が生じています。2004年4月、ベトナムが南沙群島観光ルートを開設し、同19日に最初の観光団が訪れたことは中国側をかなり刺激しましたし、10月にはベトナムの国営石油天然ガス企業が係争海域の石油天然ガス探査権の入札を行ったことに対して、中国側は厳しく抗議しました。両国関係は今後も硬軟取り混ぜた駆け引きが続くものと思われます。

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