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 第185回 公務員法成立の意義

2005年4月27日、中華人民共和国公務員法が全人代常務委員会第15回会議を通過し、2006年1月1日から施行されることになりました。公務員に関する規定は、1993年に<国家公務員暫行条例>が出されましたが、拘束力が弱く、地方では依然として30%にも上る縁故採用がまかり通り、また、職員の昇級システムの不備など様々な問題も解決されないままでした。その一方で、公開選抜や一部の職種における外部からの招聘といった改革が進み、統一的な基準を示す法整備が急務となっていたのです。
今回の公務員法の要点としては、まず、公務員の定義として、法に基づいて公務を執行する者・国の行政体制に組み入れられる者・国家財政によって賃金と福利厚生が負担される者としたこと(第2条)と、公務員法と裁判官法・検察官法・人民警察法の関係を明確にしたこと(第3条)が挙げられます。前者によって、共産党員やその指導下で活動を許されている民主諸派・各団体の職員も公務員になり、人事交流がしやすくなり、共産党と政府の一体化が強化されました。
次に規律面では、上司の誤った命令には異議を申し立てができ、それでも命令されて執行した場合は、明らかに違法な行為でない限り本人が責任を問われることはない(第54条)、と規定されました。また、公務員の退職については、2004年に山西省の“帯薪下海”規定(公務員が自発的に民間企業に転職した場合、3年間は元の給料を保証し、3年後に希望すれば元の職場に復帰できる)が論議を呼びましたが、第102条で、退職した公務員は一定期間(指導幹部は3年間、一般職員は2年間)は関係業界に就職してはならない、と歯止めがかけられました。その他、被招聘者と招聘機関との間のトラブルが続発している現状に対処する為、国による人事仲裁制度も設けられました(第101条)。
公務員の任用については、2004年来、公民の平等の権利を認めるべきだ、という声の下、各地で身分・地域・学歴による差別の撤廃が進められています。また、衛生部は2005年1月20日に<公務員採用身体検査通用標準(試行)>を正式にスタートさせ、2005年の採用から適用することにしました。これにより、1億2千万と言われるB型肝炎のキャリア(肝炎を併発していないこと)に公務員への道が開かれたことになります。

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