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 第198回 節水への取り組み—その1農村篇−

国民一人当たりの水資源量が2200㎥と世界平均の31%で、年間400億㎥の水が不足し、世界水資源最貧国13カ国に入っている中国。人口が16億に達する2030年には一人当たり1750㎥に低下するとも。この貴重な水の68%を消費している農業用水がカバーしているのは全土18.37億ムー(1ムーは15分の1ha)のうち僅か4割で、6割はお天道様頼み。その結果、毎年3〜4億ムーの耕地が旱害を被り、穀物損失量は300億kgにも及ぶ一方、伝統的灌漑方法では作物の水必要量をはるかに上回る水の浪費が続いているのです。
政府は、2015年には330億㎥の水を節約して500億kgの新規穀物増産能力を達成し、2020年には“小康社会”に見合った節水型社会を実現するという目標を掲げ、2004年に213の大規模灌漑地区と23の中規模重点灌漑地区に節水システムを導入し、150の節水モデルプロジェクトを立ち上げ、2005年は更に13億元を投じるなど、農業の節水への本格的な取り組みを加速させました。2005年4月21日に、農業・工業・都市生活全てを網羅し、節水に関する具体的な取り組みを克明に詳述した5章146条に及ぶ<中国節水技術政策大綱>が施行されたことは、政府の必死の取り組みを如実に示したものといえましょう。
このような呼びかけに応じて、各地でも様々な試みが始まっています。貴州省福泉市のある村では、村民から選出された代表が用水農家代表大会を招集して用水農家執行委員会を選出、用水路の管理と用水費(一軒あたり25元)の徴収を行う新しい水管理制度を2005年3月にスタートさせました(2005.7.3人民日報)。また、寧夏回族自治区でも900もの用水者協会が設立されて節水農業への取り組みが盛んに行われています。ただ、吉林省の白城・松原両市の“小白竜”(プラスチック製の白い給水管のこと)による旱害克服節水農業の成功が誇らしげに報じられる(人民日報2005.7.14)一方で、節水農業設備を据え付けたものの、モーターなど電力代がかさんで従来の灌漑方式よりコストが倍以上になり、折角の設備が敬遠されて200万元が無駄になったという河南省新郷県の農村の試行錯誤も報告されていて(人民日報2005.4.19)、今後の更なる工夫・改善も求められています。
2005年4月、人民日報が<節水大家談>(皆で節水を語ろう)という特設欄を開設しました。庶民の様々な工夫を紹介するこういった運動がどんどん増えて欲しいものです。

三瀦先生のコラム