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 第200回 文化産業をめぐる動き

(2005年10月11日執筆)

2004年、中国人一人当たりのGDPが1000ドルを超え、消費構造が娯楽文化方面へ向かい始めました。2004年末のテレビの人口カバー率は95.3%に達し、2005年の中国文化製品潜在消費能力は6000億元と推定されています。こうした需要への対応は、非効率な行政主導の事業体制では無理で、財政負担も重過ぎます。そこで政府は2004年から本格的な文化体制改革に着手、文化行政管理部門の改編・行政からの分離・市場原理の導入を図り、北京・上海・広東・浙江など9つの省や市、35の出版・放送・文化芸術組織で経営性文化事業単位は企業に、単一国有企業は株式制企業へ転換させる改革実験を行いました。
浙江省では国有文化企業の株式制移行が積極的に推進されました。四川省の新華発行集団公司では全省112の市や県の新華書店を全面的に改革し、従業員は国有の身分を取り消し、給与体系を全面的に見直しました。中国出版集団は中国出版集団公司に改名して政府出版機関として中国最初の企業に衣替えし、広東新聞出版局は直属の出版社・雑誌社などを全て切り離しました。北京歌舞劇院も株式制企業に転換し、2005年春節では16のホテルで2日間22回の公演をこなし、約100万元の収入(以前の2ヶ月分)をあげました。北京児童芸術劇院は株式制企業に転換後、大型童話劇<迷宮>が大成功を収めました。
新しい文化産業を育成するには環境整備が必要です。政府は2004年の<文化及び関連産業分類>に続き、2005年1月、財務状況・業務活動・就業人員・補充指標4方面から文化産業を規定した<文化及び関連産業指標体系の枠組み>を施行、文化産業を、文化産業中心層(出版映像作品・文化公演・博物館など)、文化産業外縁層(ネット・観光業・室内娯楽・イベント産業など)、文化産業関連層(文具・楽器・CDなど)に分類しました。
4月、政府が奨励する新規文化企業は3年間企業所得税を免除するなど9項目の税制優遇策が通達され、また、財政税収・投融資・社会保障など10の側面から改革を支持し保障する通達も出されました。更に健全な文化市場の発展を促すべく、文化部は2005年8月から全国の文化市場への苦情を受け付ける統一通報電話“12318”を設置し、9月には営業性公演管理条例も施行されるなど、急ピッチの対策が講じられています。今後の課題としては、国有資産の保全や従業員の社会保障制度などが挙げられます。

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