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 第206回 2005年上半期自動車産業−その3−新しい変化

(2005年11月21日執筆)

2005年の中国自動車業界、話題の第一は奇瑞・吉利・哈飛などの自主ブランド分野での台頭。5年後100万台を目指す奇瑞は2004年の中国自動車輸出の80%を占めました。既にエンジンなどで自前の知的財産権を持つ吉利は、2015年総生産台数200万台突破の目標へ向け、毎年販売額の10%以上を研究開発費に投入し、北京吉利大学創設による人材育成、韓国大宇自動車前副総裁の招聘など着々と布石をしています。ただ、自主ブランド育成には解決すべき問題も多く、①消費者の自主ブランド車への評価が依然低いこと、②自主開発といっても国外との技術提携方式が中心で外部に頼る部分が依然多く、生産規模も小さいため、開発総コストが割高になること、は大きなネックと言えましょう。
話題の第二は小型車の人気と、その普及を阻む要因の存在です。2005年上半期、石油価格の急上昇の影響も有って、小型排気量の車の売れ行きが顕著になりました。1000cc以下が101.6%増なのに対し、1600〜2000ccはわずか4%増、1600cc以上は軒並み15%以上も減少しました。石油消費量の増大に悩む政府は2004年11月の<エネルギー節約中長期特別計画>で小排気量車を制限する規定の撤廃を打ち出し、2005年7月には強制基準として<乗用車燃料消耗制限値>を実施しています。しかし地方では、小型車は都市のイメージダウンという偏見が根強く、2005年7月現在でなお全国84の都市が小型車の市街地通行制限を実施しています。
話題の第三はアルコール混合ガソリンの普及。2004年2月、<自動車用アルコール混合ガソリン試行地区拡大プラン>と<同実施細則>が公布され、黒竜江・吉林・遼寧・河南など9省がテスト地区に選ばれました。ガソリンとアルコールを9対1の比率で混合した新燃料は排気ガスを減らし、またサトウキビなどを原料とするため農業にも貢献するという一石二鳥。安徽省では4月からバイクを含む全ての車に新燃料を義務付けました。
話題の第四は電気自動車の普及。第10次5カ年計画の科学技術重点プロジェクトの一つ、電気自動車がいよいよ実用化の段階に入り、2005年1月時点で既に60台の電気バスが北京・天津・武漢などで営業、その後も他地域で積極的に導入計画が進められていて、北京オリンピック開催時には1000台近くが使用される予定とのことです。

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