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 第218回 2005年人民日報日本紹介記事−その1−

(2006年2月20日執筆)

マイナス要因が噴出した2005年の日中関係。人民日報には大量の日本批判記事が掲載されましたが、一方で何とか友好の糸口を探す努力も垣間見られ、『パイプのけむり』の中訳本 “煙頭随筆” が出版された故団伊玖磨や自身が主宰する音楽塾に32名の中国人学生を受け入れた小沢征爾、また、2005年に鬼籍に入った人物からは日中友好に貢献した政治家の後藤田正晴、日経記者だった鮫島敬治が大きく取り上げられました。
重苦しい両国の間の救いとなったのが卓球の福原愛。その屈託のない自然な溶け込み方が中国人には大変な人気。7月28日から11日間東京の森ビルで開催された日中友好写真展、その開幕式で和服姿の愛ちゃんがジャッキーチェンと手をつないでほほえむ姿は大きく報道されました。張芸謀の『単騎、千里を走る』(“千里走単騎”)に出演した高倉健も12月30日の紙面で大変好意的に紹介されました。
4月に反日運動が盛り上がるまでは、日本文化に対する深い理解を示す記事が散見されました。2月22日には<互いに包容し、相互に感動する‐日中文化交流感言>と題する一文が克明に過去の文化交流の成果を紹介、3月29日には、“桜花意象”と題する一文が、桜便りに沸く日本、上野公園の花見風景の描写、そして刹那に散りゆく「桜吹雪」を愛する日本人の心情を細やかに紹介しました。
<目黒区生活指南>の中訳本を通して中国の“社区”(居住区)と日本の地域社会との比較を詳細に紹介したのは2月18日の記事。日本の地方自治体の「自分で自分を管理する」システム(条例制定の権限・直接選挙による首長や議会の選出・住民会議の存在と権限・財政運営など)が克明に紹介され、更に、住宅の管理や水道・電気の問題から健康問題・様々なイベントがどうケアされているかも紹介されています。
10月12日、<日本人の『契約意識』>と題する記事が目に留まりました。筆者が日本に来てまず不審に感じたのが、宿屋で車のキーを渡すことと電化製品を買ってその場で開けて確かめないこと。そこから、「信頼を裏切らない、約束を守る」という日本社会の契約意識に思いを致し、不祥事を起こした企業に対する追及の厳しさを紹介、民衆の自己防衛意識・法律の制裁・市場のチェック・世論の監督の果たす役割に注目しています。

三瀦先生のコラム