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 第238回 中国の言論統制とその背景-その2-

(2006年7月24日)

2005年春に<報道取材編集者就業管理に関する規定(試行)>が公布され、「中国共産党の指導と社会主義制度を擁護し、政治意識・大局観・責任感を確立し、世論を正しい方向へ導き」、「憲法と法律に遵い、党の報道宣伝紀律に遵い、党と国家の利益を守り、人民大衆の根本的利益を守り、党と国家の機密を厳しく保持する」ことが求められました。
4月6日、人民日報は“凌言”署名の<西側の報道の自由の本質とわが国報道事業の使命>を掲載、「一部の人間は真の言論の自由の意味を理解しておらず」、「西側の報道の自由を盲目的に崇拝し、西側を報道の自由の楽園とみている」「報道の自由を、好きなように報道し、したいように報道するまったく制限を受けない自由と考えている」と指摘、「世界のどこの国の報道も、政府・資本・国家利益・集団の利益の影響と制約を受けている」として、「わが国の報道の自由は必ず経済の発展・社会の安定にプラスでなければならない」と結びました。平行してウェブサイトの集中取締りも行われ、また、2008年完成を目指して、ネット検閲システム「金盾工程」も構築中です。
2006年3月26日、氷点が復刊され、ややほとぼりが冷めた頃、中国報道界がいかに発展し、充実しつつあるかを力説する新華社記者曲志紅・隋笑飛署名の<人民とともに歩み、時代とともに前進する>という文章が掲載されましたが、その一方で、国家広電総局から各テレビ局に対し、国外メディアの報道を材料に国際ニュース番組や国際時事政治テーマ番組を直接制作することを禁じ、必ず、中央テレビ局か中国国際ラジオ局が提供するテレビ国際ニュースを統一して使用することを求める通達も出されました。
こういった一連の動きを、あたかも胡錦濤政権の本質のごとく論ずる向きもありますが、実は、来年(2007年)の第17回党大会を控えた蠢動ではないかと思われる節があります。胡錦濤政権にとっては江沢民の影響力を薄め、本格的な自立政権を打ち立て、なおかつ次なる後継者を政治局常務委員に昇格させる大事な大会。胡耀邦−胡錦濤—李克強と続く共産主義青年団人脈を維持できるか否か、氷点停刊と復刊・朝日が掲載したアモイ事件主犯召還関連報道・物権法や独占禁止法の審議の停滞など、いずれもがこの問題と深くかかわっている可能性を否定し得ません。

三瀦先生のコラム