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 第二十四回  人口と老齢化

(2002年3月18日執筆)
2002年11月、加筆修正いたしました。

一昨年、10年ぶりに行なわれた第5回国勢調査の結果から主な数値と特徴を拾うと、 総人口は12億9533万人(台湾を含む)で、前回(10年前)比1億3215万人(11.6%)増、その間の年平均増加率は 1.07%で、一戸当たりの家族数は3.44人と、前回と比べ0.52人減少しています。
年齢構成は、14才以下の人口が2億8979万人と、前回比4.80%減であるのに対し、65才以上は8811万人と、1.39%増え、一人っ子政策の徹底による少子化と、人口全体の高齢化が始まったことをはっきり示しています。
今後の人口予測ですが、現在、人口の自然増加率は既に1%以下になっており、政府は第10次5ヶ年計画中の年平均自然増加率を0.9%以下に抑え、2005年に、総人口を13.3億以内にコントロ−ルすることを目標にしています。
人口抑制もさることながら、今後の中国の人口政策で重要視されているのが、“人口素質”(人口の質)の充実です。昨年、南開大学で開催された<「歴史上の中国人口行為」国際学術研究討論会>で、中国では歴史的に男尊女卑の観念が強く、明代には、江南地区を中心に女の赤ちゃんを間引くことが流行したことが報告されましたが、一人っ子政策が強力に進められる中で生じた男女比の偏りを是正することも当面の急務でしょう。
一方で、人口の老齢化に対する対策も待った無しです。現在、中国の60歳以上の老人数は1.3億人で、今後50年間、年平均3.2%の割合で増加しつづけます。昨年6月、民生部は<老齢対策強化に関する中共中央、国務院の決定>に基づいて“星光計画”を打ち出しました。宝くじの売り上げや政府予算、社会からの投資などを合わせ、今後三年間で約100億元を投入、全国10万の“社区”(地域社会)や農村の郷、鎮に老人向けの医療、学習、娯楽施設を設けようというものです。
中国でも最近は、子供たちが親の扶養をなすりつけあう揉め事が良く紹介されます。特に、退職金も養老保険も無く、医療福祉も受けられない多くの農村の老人は悲惨で、親が養育してくれない子供を裁判所に訴える話もしばしば報告されています。物質生活が急速に豊かになる中、社会の基本的モラルをどう育成するかが、ここでも問われ始めています。

三瀦先生のコラム