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 第245回 保険業界の動向-その1-概況

(2006年9月19日)

2006年6月26日、<保険業の改革発展に関する国務院の若干の意見>が正式に公布されました。胡錦濤政権は、現在、全面的な“小康社会”と“和諧社会”(調和の取れた社会)の建設を目標に掲げていますが、それには、現代社会において保険業が果たす役割、例えば、養老・医療など社会保障システム面での役割、人々の生命財産に関わる経済的保障面での役割、また、その資金を融通して機関投資家として債券市場などを支える役割が不可欠となります。
保険業のこうした役割が十分に発揮されれば、人々は将来に対する憂いが少なくなり、消費も盛んになるでしょうし、消費信用保険などが整備されれば一層消費を後押しするでしょう。金融面でも、保険機関は現在中国債券市場第2位の機関投資家であり、資本市場でも重要な役割を担うほどになっているのですから、これをより効果的に運用しない手はありません。また、輸出信用保険が充実すれば、今中国政府が積極的に推進している中国企業の海外進出のリスクを軽減し、一層の後押しが可能になることでしょう。その他にも、ここ数年、クローズアップされている新農村建設で農業保険の整備は重要な役割を果たすでしょうし、農村における養老問題解決にも保険の果たす役割が大いに期待されます。また、近年多発している様々な自然災害や各種重大事故においても、保険の不備が被災者の立ち直りを遅らせ、また、政府の負担を過重にしています。今回の<意見>公布の背景にこういった差し迫った状況が有ることは言うまでもありません。
20年前、保険会社は一社しかなかった中国ですが、中国保険監督管理委員会が発表した数字によると、2005年末時点で財産保険会社は40社(外資16社)にのぼり、保険業全体のここ3年の累計給付額は2838億元、商業性健康保険への加入者は2005年1年間だけで延べ2億5千万人にのぼり、養老保険・健康保険の準備金は1兆2千億元(全国の社会保障基金の6倍)に達しているとのこと。とはいえ、先進国と比べると、2005年に中国の保険費がそのGDPに占めた割合は3.4%と世界平均の8.1%の半分にも満たず、一人当たりの支出も36ドルで、世界平均の470ドルには遠く及びません。まだまだやるべきことはたくさんあるわけです。最近のその具体的取り組みは次回に。

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