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 第272回 WTO加盟5周年の総括−その1−

(2007年4月2日)

2006年11月で、中国がWTOに加盟してちょうど5年が過ぎました。“入世”(WTO加盟)は中国の発展に不可欠であり、悲願でもありましたが、一面、中国に対して待ったなしの様々な改革を迫りました。中国の法律体系は、憲法の下、全人代で制定される各種“法律” /国務院が制定する様々な“決定・命令・条例”などの“行政法規”/国務院の各部門が制定する“条例・辦法”などの “部門規章”/各一級行政区やそれに準ずる地方の全人代・地方政府が制定する“法規・規章”に分かれていますが、WTO加盟に照準を合わせた法律体系の整備が始まった1999年から2006年10月までに制定または改定された“法律”は21件、“行政法規”は100件、“部門規章”は1000件あまり、地方の“法規・規章”は20万件に達しました。
この5年間の変化と発展を中国の人たちはどう総括しているのでしょうか。2006年12月4日の人民日報は第14面全面を使って11人の政府要人・学者の分析を掲載しました。その主要な部分をご紹介しましょう。
商務部長の薄熙来は、この5年間に中国のGDPは世界第6位から4位へ、輸出額は世界第6位から3位へ躍進し、世界経済の成長に対する貢献率が平均13%であったことを挙げた上で、「この5年間で中国の対外開放は、①地域的な対外開放から全面的な対外開放へ、②従来の物の貿易からサービス貿易へ、③市場参入条件の法制化・透明化・規範化、という3つの重要な転換を遂げた」と述べ、一方「中国は経済大国となったが、未だ経済強国ではなく、粗放型経済成長方式は是正されておらず、労働集約型産業の優位性に依存している。技術革新能力に欠け、自主ブランドが少なく、貿易摩擦が常態化・多様化・複雑化している」と現状の問題点を指摘しました。
成思危全人代副委員長は、グローバル化に潜む危険とその恩恵を双刃の剣に喩え、無防備に対する警鐘と過度の警戒心・閉鎖傾向を戒めた後、ミクロ経済の視点から分析し、「1344の上場企業を調査したところ、赤字が200社以上、利益ゼロが200社、国際基準で投資価値ありと判断される企業はわずか400社のみ」であり、「先進設備を導入しても社員の質は2流、管理は3流という企業もある」と、中国国内企業の脆弱性を指摘しました。

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