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 第277回 職業教育−その1−

(2007年5月14日)

2007年3月1日付人民日報『教育論壇』に袁新文記者の評論『一つたりとも無駄にはすまじ』が掲載されました。中国で職業教育の必要性が声高に叫ばれている事情を端的に述べていますので、まずその大意を紹介し、次回でさらに詳述することとします。
「春節の人混みでひときわ目を惹く“農民工”と呼ばれる大勢の人。彼らの生活状況・幸せ度・未来への展望が多くの人の関心事になっている。最近取材した河北省の帰郷農民は、子供たちも<中学を卒業→進学せず労働→稼いだ金で家族を養う→子供連れで労働>と、親と同じ道をたどるだろう、と半ばあきらめ顔。
先頃、若い農民労働者が珠江デルタの企業に出稼ぎに行った。親のツテを頼り、学歴は低く、技術も持たず、苦労を厭い、労働・学習意欲に欠け、現代企業のニーズに応えられない。この“嬌子民工”(甘ちゃん出稼ぎ)の出現については現行の教育にも原因がありはしないか。今では農民子弟も義務教育が受けられ、多くの大都市が差別待遇を撤廃、例えば上海在住農民子弟40万は全て各県や区の義務教育に編入されている。しかし、都市化で彼らの数が増えるほど、義務教育後の問題が突出してくる。
彼らはどうやって人材価値を高め、就職し、未来を切り開いたらいいのだろう?北京にいる50万の農民労働者の子弟は、義務教育終了後、進学するか就職するか、都市に残るか帰郷するかを選択しなければならない。進学をあきらめた一部の若者、競争に敗れた多くの若者はその後何を学び何をしたらいいのか。
数十年も前、黄培炎氏は、職業教育は『職無き者に職を与え、職あるものには職を楽しませる』と述べた。一人ひとりに目を向けた教育として、職業教育は中学卒業後の生徒たちを合理的に分流させ、技能を習得させ、沢山の有能な技術者を社会に供給できる。フランスの職業教育は中卒から始まり、15〜16才で37%が職業教育を選択する。ドイツでは多くの生徒が職業教育を受け、若者の失業率が低い重要な原因とされている。農民労働者の子弟に一人残らず義務教育を受けさせるべきだというのなら、職業教育は彼らが学業や成長をあきらめたり、有用な人材となることを放棄しないよう保証するもので、その意義を過小評価すべきではない」

三瀦先生のコラム