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 第二十八回  銀行改革

銀行制度の改革が急ピッチで進められています。昨年12月11日にWTO正式加盟が決まると、中国人民銀行は、12月11日から、外資系金融機関の外為業務対象を中国国内の機関や個人に広げ、また、上海、深圳に在る外資系金融機関に人民元業務を許可、天津、大連でも人民元業務申請を受け付けることにしました。
人民元取り扱い業務については、加盟後1年以内に広州、青島、南京、武漢の4都市でも許可され、その後毎年、4都市ずつ開放され、5年以内に地域制限を撤廃、対象も2年間は企業に限られますが、やはり5年以内で制限が無くなります。
今年2月5日、北京で、全国金融工作会議が開催されました。金融市場の開放が現実となった今、中国の銀行改革はまさに正念場。会議では、金融監督の立ち後れ、銀行の経営メカニズムの不健全性、信用に対する認識不足などが指摘され、国有商業銀行の総合改革が最重要課題として提起されました。
中国の銀行は、中国人民銀行が日本の日銀に近い役割を果たし、中国工商銀行、中国農業銀行、中国銀行、中国建設銀行、交通銀行の5大銀行に、国家開発銀行、中国輸出入銀行、中国農業発展銀行の3つの政策銀行などがあります。一般の商業銀行としては、1992年に設立された光大銀行、華夏銀行などの株式制銀行が在り、順調に業務を拡大していて、深圳発展銀行、浦東発展銀行、民生銀行などは既に上場を果たしています。政府は国有商業銀行も株式制に改組し、株式の上場を進める予定ですが、中国の銀行も大量の不良資産を抱えており、その順調な処理と、体質改善が不可欠です。5月1日から施行される<株式制商業銀行企業統治の手引き>の効果が期待されます。
銀行同士の業務提携も盛んになり、昨年3月、中国銀行と華夏銀行が、9月には中国工商銀行と華夏銀行が、そして11月には中国銀行と民生銀行が協力を発表しました。また、利息収入外の中間業務の開拓なども積極的に図られています。
ただ、一般利用者に対するサ−ビスの向上はまだ、不十分な点が多く、支店ネットワ−クの整備や行き届いたサ−ビスなどの工夫が不可欠でしょう。「都市の商業銀行は市民に目を向けた銀行になるべきだ」とは、中国人民銀行総裁戴相竜氏の言葉です。

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