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 第293回 バイオガスの普及

(2007年9月18日)

2007年3月、農業部は『全国農村バイオガスプロジェクト建設プラン(2006〜010)に関する通知』を発し、7月には『農業バイオエネルギー産業発展プラン(2007〜015)』を発表しました。それによると中国には現在、ニワトリ・ウシ・ブタの飼育場が391万箇所あり、排出される糞便の量は11.2億トン、理論的には670億立方メートルのバイオガスの生産が可能とのこと。また、第11次5カ年計画の牧畜業発展計画から試算し、2010年と2015年にはそれぞれ1500億立方メートル・1950億立方メートルのバイオガスの生産が可能だ、としています。
政府は既に第10次5カ年計画期間(2001〜2005)中に34億元を投入してバイオガス生産を推進し始め、2005年までに1800万個の発生タンクが建設され、年産65億立方メートル、1700万戸がその恩恵に浴しましたが、上記プランの第4章では具体的な地域別発展プランも提示、東部・中部東北部・西部の三地域別に具体的数値目標を設定、その総和として、2010年にはバイオガス使用戸数を4000万戸(実現可能戸数の3分の1)にまで増やす、としています。この4000万戸の農家が自家生産するバイオガスだけで2420万トンの標準石炭に相当、1.4億ムーの森林を蓄積し、また、これに付随して生産される有機肥料は農薬や化学肥料の使用量を20%も減らすことができるとも。こういった様々な施策が順調に行けば、中国全体でのエネルギー消費に占めるバイオエネルギーの割合は2010年で全体の1%、2020年には4%に達する、と言われています。
バイオガスの利用は農村の生活に革命的な変化をもたらしています。その効果は“一池三改”と言われますが、即ち各農家が人や家畜の糞尿・作物の茎・生活排水などをタンクで発酵させ無害化処理を行い、家畜小屋と便所と台所の改善を一体化させ、発生したガスで調理・照明・入浴を行い、更にタンクで醸成された液体・固体肥料を使って無公害の農作物を栽培すると言う循環利用の実現です。農家はこれによって、衛生的かつ近代的な生活を実現することができます。広西チワン族自治区では、2006年末で全国トップの36.75%の農家にバイオガスシステムが普及、原料不足を補うための作物の茎の利用にも積極的に取り組んでいますが、こういった動きは全国に急速に波及しています。

三瀦先生のコラム