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 第323回最近の住宅問題−その2−

(2008年4月21日)

2007年、全国70都市の住宅価格は高騰を続け、第4四半期には前年比10.2%増を記録しました。住宅価格の高騰は不動産業の株価を押し上げ、巨額の融資による土地の囲い込みを誘発、土地価格が上昇して住宅価格の高騰につながるという悪循環を生み、また、買えるうちにと、親の援助の下、若者の前倒し消費を誘発しました。投機目的で一人が2〜3軒買うこともざらで、深圳では市職員が低価格賃貸住宅を1000軒も購入していました。
2007年7月、小型住宅の供給は依然不足で、90平方メートル以下の総合住宅新規着工住宅面積は年度住宅建設総面積の70%以上という目標実現には程遠く、上半期は全国で実質住宅投資のわずか19.5%にしか達しませんでした。不動産開発業者たちは、70%も作ったら近い将来供給過剰で必ず値崩れを起こすと考え、小型住宅の建設を手控えていたのです。
そこで政府は8月14日の『都市低収入家庭住宅難解決に関する国務院の若干の意見』で各地方政府に社会保障住宅を充分に供給するよう指示、経済適用住宅は購入5年以内の転売を禁止し、11月の『経済適用住宅管理規則』では対象を都市の低収入家庭に限定、建設用地は行政が無償供給し、建設コストの低減を図りました。また、12月には『低価格賃貸住宅保障規則』を実施し、新規建設は1軒50平方メートル以下とし、賃貸関係成立後6ヶ月以上居住しなかったり、家賃を支払わない場合は契約を解消するなど明確な規定を設けました。
一方、住宅需要を抑制するため、8月22日には住宅公共積立金の個人貸出金利が0.09%アップされ、9月27日には『商業性不動産銀行貸付管理強化に関する通知』で2軒目以上の住宅購入ローンは第一回支払いが40%以上、利率は同時期の中国人民銀行の1.1%以上と定め、毎月の返却額は同月の収入の50%を超えてはならない、とも規定しました。
業者に対する締め付けも強化、2007年中に中国人民銀行は計6回貸し出し金利をアップ、11月からは国有建設用地使用権は譲渡金を全額支払わないと土地の使用権証書を獲得できなくなり、従来の分割払いや土地の分割取得は禁止されました。
こうした施策によって11月頃から変化が見え始め、2008年1月には100以上の店舗を保有していた信一天が不動産仲介市場から撤退、大手の創輝は上海の200余りの店舗を全面閉鎖、北京では大恒も50店舗閉鎖するなど、業界再編の波が起こり始めています。

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