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 第333回試練に立つ中国紡績業

(2008年6月30日)

中国の紡績業が大きな試練に晒されています。10年前の1998年には、WTO加盟を目前に控え、時の朱鎔基首相の指揮の下で構造改革に取り組み、旧式の紡錘1000万個を廃棄し、120万人のリストラを断行しましたが、今回の試練は前回とは状況が大きく異なります。
2005年に国際間で輸出割り当て制度が廃止され、中国服飾製品の輸出が急増、同年の輸出は対米43%増、対欧44%増を記録、貿易摩擦が激しくなりました。これを受け、2005年に<中欧紡績品貿易覚書>が取り交わされ、10種類の紡績品について数量管理を行うことで合意、アメリカとも類似の覚書が取り交わされました。ただ、2006年の統計で見ると、数量管理対象紡績品の輸出金額は全体の僅か7.4%で、大部分の品目は自由貿易になり、紡績品対欧輸出は前年比21.8%増となりました。この数量管理は2007年で終了、2008年から、新たに8品目に対する1年間限定相互監視システムがスタートしました。それによると、数量制限は設けず輸出許可を実施、数量や価格の動きをEU委員会に報告する、輸出企業の質をチェックするなどが内容となっています。
ところが2008年になって、中国紡績業に暗雲が漂い始めました。1—2月の統計では、紡績服飾企業の固定資産投資総額は前年同時期と比べわずか8.95%の伸びにとどまり、伸び率は38.11ポイントも下落、利潤増加率も25.97ポイント落ち込みました。その原因として中国紡績協会が挙げた数字(人民日報2008.5.19掲載)では、2007年1—11月、人民元の上昇による一定規模以上の紡績企業の利潤減少318億元、貸出金利の上昇による財務コスト増150億元、輸出還付率の低下による収入減100億元、労働賃金の15%上昇と原材料・エネルギー価格の3%増によるコスト増935億元などが挙げられています。
この結果、業界の4分の1近い11000社が赤字に転落、3分の2の企業の平均利潤率はマイナス0.67%に転落しました。しかし、その一方で3分の1の優良企業は平均利潤率8.73%を維持し、二局分化が鮮明になっています。また、内需が全年同期比24%増と依然旺盛なのも特徴的です。世界経済の低迷・中国経済のマクロ規制・ASEAN諸国の時間当たり賃金0.4ドル以下に対し1ドルに迫る労働賃金の上昇になど厳しい情況ではありますが、見方を変えれば、中国紡績業が大きな転換を図る契機になるともいえましょう。

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